岡田准一&坂口健太郎が語り合う、役柄を超えて感じた“化学反応”「頼りになる相棒でした」
『関ヶ原』(17)、『燃えよ剣』(20)に続き、監督・原田眞人、主演・岡田准一で3度目のタッグを組んだ『ヘルドッグス』が、9月16日(金)より公開される。前述の2作の時代劇から一転、本作の舞台は現代、しかも警察小説の概念をブッ飛ばしたと言われる深町秋生の「ヘルドッグス 地獄の犬たち」をベースにした、ノンストップバイオレンスアクションだ。
岡田が扮するのは、ある事件によるトラウマを抱えながら、正義感も感情も捨て、関東最大のヤクザ組織に潜入させられる元警官の兼高。警察が潜入の糸口として目を付けた、組織でも手に負えない“サイコボーイ”の室岡に扮するのは、坂口健太郎。感覚がどこか麻痺している兼高と室岡は、気づけば最強の“狂犬コンビ”となって、組織で異例のスピード出世を遂げていく。だが2人をよく思わない組織内の人間たち、猜疑心や嫉妬が渦巻く複雑な人間関係に翻弄されながら、兼高は相棒の室岡にさえ正体を秘密にしたまま、予測不能な内外抗争に巻き込まれていく。
観る者のアドレナリンを噴出させる激しいアクションが連続する本作で、岡田はこれまで同様、主演俳優として難易度の高いアクションを繰りだしながら、技闘デザイン(アクション振り付け)指導も兼任。そんな岡田が演じる兼高の相棒として、見劣りしないアクションを求められた坂口は、現場でどんな時間を過ごしたのか。今回、狂犬コンビを演じた2人に現場で築いた関係性などを聞いた。
「岡田さんに『いまのよかったよ』って言われただけで、すごく嬉しくなってしまうんですよね」(坂口)
――劇中では“相性98%”の相棒ということでしたが、実際の現場ではどうでしたか?互いにどんな魅力を感じましたか?
岡田「坂口君は、現場での居方や立ち方が、とてもキレイな人。お会いする前から雰囲気がよさそうな方だな、と思っていましたが、実際すごく雰囲気がよくて(笑)。室岡が兼高に対して“アニキ”と慕ってくるのと同じように接してきてくれました。アクション演技のあと、『いまのどうでしたか?』と聞いてくるので、親指をグッと立てると、すごい喜んでくれるんですよ。それがもう可愛くて」
坂口「岡田さんに『いまのよかったよ』って言われただけで、すごく嬉しくなってしまうんですよね(笑)。僕にとっては、兼高=岡田さんで、きっと室岡も兼高に対して同じことを思っただろうな、とも感じていて。室岡としても僕自身としても、兼高、そして岡田さんの人間性にすごく魅力を感じたので、それによる“いい化学反応”みたいなものを感じながらやっていました」
岡田「兼高は潜入している役だから、あまり感情を表に出せる機会がない。だから2人のコンビネーションや在り方などは、室岡が作ってくれた側面もあって。そういう意味でも、頼りになる相棒でした」
坂口「岡田さんは俳優部の筆頭とか主演というだけでなく、現場全体の座長としてドカンといてくれるんです。しかも肩に気合が入るでもなく、すごく自然体で。とても難しいことだと思うのですが、ごく普通にそこにいてくれるから、現場に一つ核があって全員がすごくやりやすかったですし、ありがたかったです。同時に“アニキ感”を持っている方なので、僕自身も岡田さんの前で“こうしなければ!”と緊張することなく、とても過ごしやすかったです」
岡田「純粋にお芝居がお好きなんだろうなと感じたけれど、だからといって役者然としているわけでもなく、でも役に入り込むところは入り込む。例えば冒頭シーンで、サイコパスな室岡の目を撮っていた監督が、興奮して踊りながら撮られていましたから(笑)。アクションは大変な作業も多いのですが、それを楽しめるのも才能だと思いました」
「坂口君は“癒し”でしたね」(岡田)
――とはいえ兼高と室岡の関係性は、最高のバディから、少しずついろんな感情が入り混じって複雑なものになっていきます。
坂口「確かに、作品のなかで愛情がいろんな形に変化していきますよね」
岡田「男同士のラブというか、愛がひっくり返るような感じがあると思います。しかも兼高と室岡の間に、組織のトップに君臨する十朱役のMIYAVIさんが入ってきたりして、どんどん濃い話になっていく。本当に濃いキャラクターばかりで、こってり感ハンパない、とんでもないラーメンを食べてるみたいな感じでした(笑)。そんな濃さを楽しんでいるなかでの、坂口君は“癒し”でしたね」
坂口「僕、癒せてました?」
岡田「だってMIYAVIさん、北村(一輝)さん、僕、松岡(茉優)さんという濃い面々が並んだら、もう坂口君一択だよね。松岡さんには悪いけど(笑)。しかもその周りが、濃いだけじゃなく襲い掛かってきそうな本当に怖い顔した人たちばかりで、とんでもない現場でしたから(笑)。癒しといえば、僕のご飯事情を心配してくれたのも、坂口君だけでした」
坂口「一度、昼飯の時に、『銃を持った時の歩き方を教えてください』って岡田さんに聞いていたら、昼休憩が終わっちゃったんですよ(笑)。僕は先に昼飯を食べていたのですが、岡田さんは打ち合わせをしていたので食べてなくて、本当に申し訳ないことをしちゃったな、と…」
岡田「昼休憩時は、スタッフや監督とアクションの打ち合わせをしていることが多くて、基本的に僕はご飯を食べる時間がないんですよ。でも、それを心配してくれる優しさを持っている人は、坂口君だけでした(笑)」