廃墟ホテルに邸宅、室岡の隠れ家まで…『ヘルドッグス』の異国感あふれるロケーション&美術の秘密が明らかに!
『関ケ原』(17)、『燃えよ剣』(21)に続いて原田眞人監督と岡田准一が三度目のタッグを組んだノンストップ・クライム・エンターテイメント『ヘルドッグス』が公開中。深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」を原作に、トラウマを抱えた元警官の潜入捜査官を演じる岡田や、その相棒となる暴走ヤクザ役の坂口健太郎をはじめ、松岡茉優、MIYAVI、北村一輝、大竹しのぶら豪華キャストが共演する。
ある強盗殺人事件によって愛する人を殺された元警官の出月梧郎(岡田)。事件の犯人たちへの復讐を実行していた彼は、警察に目をつけられ、兼高昭吾として関東最大のヤクザ組織、東鞘会へ潜入を命じられる。兼高は東鞘会の精鋭部隊“ヘル・ドッグス”の一員となり、メンバーのなかで最も危険な男、室岡秀喜(坂口)とバディを組む。事前に警察が調査した相性98%の数字が示すとおり、2人は組織内をのし上がり、会長である十朱(MIYAVI)の護衛を任されることに。室岡と固い絆で結ばれていく兼高だが、警察から十朱を殺し彼の持つ極秘ファイルを奪えという最後のミッションが課される。
本作では、作品が持つ異国的な世界観を具現化するロケーションを求め、日本各地で撮影を敢行。また、原田作品の真骨頂でもある細部までデザインされた美術や衣装には監督のこだわりが詰め込まれている。本編を観ただけでは分からないロケ地&美術の知られざる設定やこだわりを紹介しよう。
兼高と室岡のドラマが生まれた印象的なロケーションの数々
兼高と室岡が訓練をしながら敵対するヤクザ一行を襲う冒頭のシーンは、静岡県のある施設の跡地で撮影を敢行。当初、海外ロケを予定しており、コロナのため変更となったが、日本とは思えない異国感ある風景として映し出される。
東鞘会の幹部の1人、大前田(大場泰正)の邸宅として登場するのは、東京都小金井市にある大森邸。大正時代に建てられた築百年余りの日本家屋風の個人所有の豪邸で、正面玄関、廊下、警察から兼高への連絡係である典子(大竹)が大前田をマッサージする和室などがここで撮影された。約三千坪の庭園も併設されている。
また、兼高に指令を出す警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊の阿内(酒向芳)と、典子(大竹)の連絡場所として登場する教会は、東京で最古のカトリック教会である築地教会。映画では大聖堂という設定のため、聖堂の高さはCGによって変更が加えられている。1999年に東京都の歴史的建造物に、2001年に東京・中央区から文化財として選定された歴史ある教会だ。