「ぴあフィルムフェスティバル」荒木啓子ディレクターが語る、「PFFアワード」の信念と自主映画30年の変化

インタビュー

「ぴあフィルムフェスティバル」荒木啓子ディレクターが語る、「PFFアワード」の信念と自主映画30年の変化

「観る機会のほとんどない作品を上映することが、映画祭の役割の一つ」

「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」では、「PFFアワード」のほかにも普段スクリーンではなかなかお目にかかれない貴重な作品の上映も行われる。

映画版ロングバージョンとして上映される『私立探偵濱マイク 名前のない森』
映画版ロングバージョンとして上映される『私立探偵濱マイク 名前のない森』写真提供:読売テレビ

今年3月21日にこの世を去った青山真治監督の特集上映では、『Wild Life』(97)や『月の砂漠』(01)、『路地へ 中上健次の残したフィルム』(01)、『赤ずきん』(08)の4作品に加え、永瀬正敏主演のテレビドラマ「私立探偵濱マイク」の第6話として放送された「名前のない森」の映画版ロングバージョンが、いずれも35ミリフィルムで上映される。「青山さんの数多い監督作のなかでも、なかなか観られないものを選びました。観る機会のほとんどない作品を上映することが、映画祭のやらなきゃいけないことだと思っています」と荒木は語る。


衝撃作『ソドムの市』など、スクリーンではなかなかお目にかかれないものばかり
衝撃作『ソドムの市』など、スクリーンではなかなかお目にかかれないものばかり

また同じく招待作品部門では、今年生誕100年を迎えたイタリアの映画監督ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の日本初上映作品を含む18作品・16プログラムを上映する「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」も。「特集上映を行う監督は、すべてPFFアワードの監督たちに観てもらいたいという基準で選んでいます。スクリーンでパゾリーニを観ることは得難い体験になる。自主映画を撮っている人たちはきっと刺激を受けて、新しい映画の視点が開くのではないでしょうか」と、ここにも“新しい才能”の到来に期待を寄せるPFFらしい姿勢が表れていた。

「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」は現在開催中!
「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」は現在開催中!

「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」は、9月25日(日)まで東京・京橋の国立映画アーカイブにて開催中。また「PFFアワード2022」の入選16作品は「DOKUSO映画館」と「U-NEXT」にて10月31日(月)までオンライン配信中だ。

取材・文/久保田和馬

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