松山ケンイチ主演『川っぺりムコリッタ』がついに公開!ムロツヨシは奮闘の末に満島ひかりから「敗北感」
「おいしい食」と「心をほぐす幸せ」を描く、荻上直子監督最新作『川っぺりムコリッタ』の公開記念舞台挨拶が17日都内で行われ、主演の松山ケンイチ、共演のムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、そして荻上監督が参加した。
本作での荻上監督との出会いで、俳優としての引きだしが増えたと自負しているムロ。撮影を振り返り「荻上監督との戦いの毎日が楽しくて、緊張感とやりがいが交互にやってきた撮影の日々でした。それがいい具合にスクリーンに映っていれば」と期待した。すると満島は「現場でのムロさんが可哀想で可愛かった。荻上監督にやっつけられている場面とか、敗北感のある男がさ迷うように歩いていた」と撮影中のムロの奮闘の様子を紹介。それに当のムロは「敗北感…。強烈な言葉ですね」と苦笑いだった。
北陸の塩辛工場で仕事を見つけて、ハイツムコリッタに引っ越してきた山田を演じた松山。山田の隣に住んでいる島田役のムロとの冒頭シーンに触れて「ムロさんはとても好きな俳優で大切な仕事仲間です。でも島田はいきなり山田の部屋に入って来て『風呂貸して!』って…。どんな気持ちで言ったんですか?」と質問。これにムロは「とにかくお風呂に入りたかったんだと思うよ?」とキャラクターの心情を解説していた。
一方、息子と一緒に墓石を売り歩く溝口役の吉岡は、すき焼きを囲んで食べるシーンの話題になると「僕はお肉を食べられていなくて…。食べようとすると満島さんが器を出すので、僕は注ぐしかない。カットがかかるたびにみんな『美味しい!美味しい!』と言うけれど、僕はあの美味しそうなお肉を一枚も食べていません。僕は常にネギとしらたきしかなくて」とションボリ。満島から「(役柄として)だって家賃を払っていないから」と爆笑しながらその理由を説明されると、「味が染み込んだ美味しいしらたきでした」としみじみ噛みしめていた。
また作品の内容にちなんで「ちょっとした幸せ」について聞かれると、吉岡は再び食をテーマにトーク。コロナ禍での撮影後の一コマとして「コロナ禍になってからは外食をせずに配給されたロケ弁を一人ぼっちで食べる。そんなときに、お豆の代わりに濃い味のナポリタンや春雨サラダが入っていたら『幸せだなあ』と感じる。豆はあまり好きではないから…。どのタイミングで食べればいいのか悩むので」と実感を込めて打ち明けていた。
取材・文/石井隼人