「マジェプリ」「弱虫ペダル」プロデューサーが振り返るTOHO animation10年の歩み「チャレンジングなスタートだった」
「『弱虫ペダル』はいまのレーベルの礎になった作品だと思っています」(下山)
――ちなみにTOHO animationが、この10年間で手掛けられてきたテレビシリーズ、劇場公開作は何タイトルくらいになりますか?
下山「テレビアニメは70作品前後ですね。総集編としての劇場版などもあったりするんですけれど、映画と合わせて100くらいにはなっています」
山中「テレビアニメはその中にはシリーズで継続されているものもカウントされていますね。おかげさまで、弊社のアニメは比較的、単発の作品というよりは、シリーズ化しているものが多いという印象は持っています」
――TOHO animationとして、特に大きな手応えを感じられた作品は?
山中「かなりいろいろな作品があるので、1作を選ぶことはできなくて、ぜんぶ血肉になっていると思うんですけれども…。例えば、『ハイキュー!!』や『血界戦線』ですね。アニメ制作会社のオレンジさんと作ったフルCGの『宝石の国』も印象に残っています。
TOHO animationとしての“型”みたいなことで言うと、『僕のヒーローアカデミア』は劇場とテレビをうまく使いながら、シリーズを広げていくやり方で、いいものになっているのではないかと思います。『呪術廻戦』や『SPY×FAMILY』は、社会的な反響もだいぶ大きくなってきていますので、我々がこれまで見てきた地平線とは違う、世の中に影響を与えているという実感を持っています」
――そのほかにも、お2人にとって、個人的に印象深い作品はありますか?
山中「僕らは2013年10月クールの『弱虫ペダル』を、製作と宣伝でずっと一緒にやってきました。TOHO animationのなかで、わりと早いタイミングで世に出ていった作品だったので、いろいろあったなあと思い出されます。劇場版や総集編の展開、イベント開催など、多岐にわたって、いろんなことをやらせていただいているタイトルでもあり、イベントをやる時はこうだよね、総集編やる時はこうだよね、といった雛型を作れたタイトルだったと思います」
下山「『弱虫ペダル』の原作は、秋田書店さんの『週刊少年チャンピオン』での人気作です。自転車ロードレースという、もちろんコアなファンはいるものの、まだ世間一般的にはそれほど知られていなかった競技を題材にしているなかで、アニメーションでどういう描き方ができるかについて、鍋島修監督とアニメ制作会社のトムス・エンタテインメントさんをはじめとする皆さんと協議を重ねながらやっていました。製作チームはすごく試行錯誤しながら作り上げていったと思っています。
しかも、1期目は3クール(38話)からスタートしましたので、かなりめずらしい長期シリーズだったんですよね。その後の2期が2クール(24話)。要するに、ひとつの“1年生編”が終わるまで、5クール使っていたんです。このロングスパンの作品を、宣伝としてどういうふうに盛り上がりを作っていくか?というのに苦心しました。放送前、放送期間中と、ファンの熱量、反応をしっかり見ながら、すごく考えてやっていたのを覚えています。
テレビアニメと映画、映像エンタメを観るという点は一緒なんですけれども、やはりお金を払って劇場で観るのと、テレビアニメでずーっと継続しながら観るのとでは、構え方や没入の仕方が違うと思うんです。テレビアニメのファン、視聴者の方々に、どうやったら楽しんでもらえるのかを、すごく勉強させてもらいました。映像や宣伝、イベント、グッズも含めた施策を展開した時のリアクションが“ドン!”と出るのもうれしかったです。もうすぐ10月から5期が始まりますが、いまのレーベルの礎になった作品だと思っています」
配信日:2022年9月25日(日)10:30~20:30 (予定)
配信URL:https://youtu.be/-W_Y-xNwR38
イベントHP:https://tohoanimation.jp/10thanniversary/special/event5/