ピョン・ヨハン、『声/姿なき犯罪者』に“すべてを投じた”理由を語る「自分の体を使ってでも詐欺の深刻さを伝えたかった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ピョン・ヨハン、『声/姿なき犯罪者』に“すべてを投じた”理由を語る「自分の体を使ってでも詐欺の深刻さを伝えたかった」

インタビュー

ピョン・ヨハン、『声/姿なき犯罪者』に“すべてを投じた”理由を語る「自分の体を使ってでも詐欺の深刻さを伝えたかった」

声/姿なき犯罪者』は、サスペンスや犯罪ドラマといった韓国映画の得意ジャンルにおいて、新たに生まれた快心の一本だ。韓国で社会問題化する“ボイスフィッシング”、いわゆる振り込め詐欺をテーマにした本作は、徹底したリサーチで練られた脚本と、感性を刺激するシネマティックなシーンの数々、そして俳優たちの渾身の演技に惹きつけられた観客が続出し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で劇場の客足が遠のくなかでも、韓国で好調な興行成績を収めた。今回、その圧倒的な演技で映画を牽引した主演のピョン・ヨハンへインタビューを敢行。あらゆる作品を幅広く演じ分け、韓国芸能界の第一線で活躍する彼に本作への想いを聞くと共に、役者としての理想や作品選びについても語ってもらった。

巨大詐欺集団への復讐に燃える男の死闘を描くサスペンス『声/姿なき犯罪者』
巨大詐欺集団への復讐に燃える男の死闘を描くサスペンス『声/姿なき犯罪者』[c] 2021 CJ ENM Co., Ltd., SOOFILM ALL RIGHTS RESERVED10/7(金)新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー

「セットなのか本物なのか見分けがつかないほどディテールがすごかった!」


『声/姿なき犯罪者』の主人公ソジュン(ピョン・ヨハン)は元麻薬捜査のエース刑事だったが、いまは釜山の建築現場で監督として作業員をまとめながら、愛する妻とささやかに暮らしていた。ある日、従業員たちにかかってきた電話が、彼らの運命を狂わせることになる。それらは娘の治療費やマンションの支払いなどを騙った、30億ウォンにも上る振り込め詐欺だったのだ。ソジュンの妻も被害者となったことで、彼は犯人を突き止めようと追跡を始める。そしてたった1人潜入したのは、総責任者クァク(キム・ムヨル)が指揮を執る巨大な詐欺集団の中国アジトだった。

愛する妻と穏やかに暮らしていたソジュンの運命を、一本の電話が変えてしまう
愛する妻と穏やかに暮らしていたソジュンの運命を、一本の電話が変えてしまう[c] 2021 CJ ENM Co., Ltd., SOOFILM ALL RIGHTS RESERVED10/7(金)新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー

ピョン・ヨハンが本作への出演を決めたきっかけは、実際に家族が振り込め詐欺に遭いそうになったことだった。「海外で撮影をしていた時、僕のマネージャーを調べて母親に詐欺の電話がかかってきたことがありました。“自分も騙されるかもしれないんだな”と思いましたし、警戒心が芽生えました」と語る彼は、自身が抱いた警戒心を多くの人に届けたいと考え、撮影に臨んだのだった。

しかし、コロナ禍での撮影はこれまで通りとは行かなかった。韓国と中国が舞台となる本作は、海外ロケが困難ななかでもリアリティを追求するため、中国やフィリピンの現地チームと連携を図りながら撮影を行った。キム・ソン監督、キム・ゴク監督は数年にわたる事前調査で、実際に起きた手口の再現や詐欺の本拠地についてのリサーチに尽力したが、具体的な情報を得ることが難しかったそうだ。そうしたなか、Netflixドラマ「静かなる海」で宇宙船のセットをデザインした経験を持つイ・ナギョン美術監督が辣腕を振るった。詐欺の拠点である中国のコールセンターのセットは出色の出来栄えであり、ピョン・ヨハンも、その仕事ぶりを高く評価する。

イ・ナギョン美術監督曰くコールセンターのセットは「巨大なショッピングセンターが廃墟と化している姿」
イ・ナギョン美術監督曰くコールセンターのセットは「巨大なショッピングセンターが廃墟と化している姿」[c] 2021 CJ ENM Co., Ltd., SOOFILM ALL RIGHTS RESERVED10/7(金)新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー


「イ・ナギョン美術監督がとてもベテランの方だったので、信じて演技することができました。実際に制作された空間に入った時、セットなのか本物なのか見分けがつかないほどディテールがすごかった!とてもありがたかったです」。

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