『呪い返し師-塩子誕生』希島凛&鈴木まりや&吉田宗洋が語り合う役者の醍醐味、人生の大切な一歩
人の不幸を願う心=“呪い”を払う、呪い返し師の奮闘を描く『呪い返し師-塩子誕生』が10月7日(金)より公開される。主人公の塩子を演じるのは、本作が映画初主演となる希島凛。塩子役に挑むうえでは、「不安もあった」という彼女。メガホンを取った赤羽博監督や、劇中で呪いを身近に感じている女性を演じた鈴木まりや、強烈な悪役に身を投じた吉田宗洋に支えられながら、大役を演じきった。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、希島、鈴木、吉田にインタビューを敢行。笑顔いっぱいに撮影を振り返ると共に、人生における“大切な一歩”を語り合ってもらった。
舞台は現代。オカルト研究会の部員たちが、不気味な現象に度々襲われる部員、奈々子を救うため、「呪い返し師」を呼び出す儀式を行なっていた。儀式により出現した呪い返し師の塩子(希島)は、たちまち呪いを払う。それ以降、塩子のもとには呪い返しの依頼が次々と舞い込み、奈々子たちと呪いに関わる事件を解決していく。やがて大企業・天道グループの御曹司(吉田)のスキャンダルを知った塩子たち。彼に弄ばれた上条さくら(鈴木)ら女性たちの想いを背負い、塩子は立ち上がる。
「初めての主演。赤羽監督の言葉のおかげで、思い切って演じることができました」(希島)
――希島さんは、呪い返し師の塩子役として映画初主演を務められました。塩子役に抜擢された時の感想から教えてください。
希島「初めての主演だったので、お話を聞いた時は驚きのほうが大きかったです。自分の未熟さを自覚していたので、『私で大丈夫かな』という気持ちもありました。でもこれまで支えていただいた方々に感謝の気持ちを表したい、今回の役目を果たすことによって恩返しができたらいいなと感じて、『お話をいただいたからには、やり抜こう』と決意を固めて映画に臨ませていただきました。撮影中も気づかないうちに肩に力が入ってしまったり、不安な気持ちになることもありましたが、そういった時には赤羽監督がスッと『凛はありのままの凛でいいんだから、楽しくやればいいんだよ』と言葉をかけてくださって。その言葉のおかげで心が軽くなって、思い切って演じることができました」
――毅然とした姿勢で“呪い”と対峙する塩子という役柄は、演じるうえでご苦労もあったのではないでしょうか。
希島「塩子は謎に包まれていて、新たなヒーロー像を体現しているようなキャラクターでもあるので、やはり役作りでは悩むこともありました。悪を正して戦う、強くてかっこいいヒーローでありつつ、令嬢として華道や茶道に向き合う姿もあれば、戦いの前のエネルギーチャージとしてうどんを豪快に食べるという庶民性や人間味が垣間見える場面もあります。メリハリやギャップを大事にしながら、塩子の多面性を深めていきたいと思っていました」
――鈴木さんは、天道翼という好きな男性に蔑ろにされながらも、思いを断ち切れない女性アナウンサー、上条さくら役を演じました。さくらの印象を教えてください。
鈴木「アナウンサーというと、誰もが夢見るような職業だと思いますが、さくらは自分に自信がない女性。だからこそ、お金持ちだったり、高学歴で見た目がかっこよかったりと、強くてたくましく見えるような男性に惹かれてしまったり、そういった男性に頼りたいという気持ちがあったんだと思います。私も以前は自分に自信を持つことができず、『お金持ちと結婚したい』と思ってしまうこともあったので、わかるなと感じる部分もあって。さくらを通して、改めて『大事なのはそういうことではない』『自分に自信を持つことが大事なんだ』と実感することができました」
――「自分に自信を持てない」と感じることもあったのですね。
鈴木「アイドルとして仕事をしていくうえでは、誰かと比べられることも多かったので、『自分なんて…』と思ってしまうことがよくありました。でもソロで活動をするようになって、“一人で頑張らないといけない”という環境に身を置き、いろいろな経験をさせていただくにつれて、お仕事に対する責任感もより芽生えてきました。もし誰かに褒めてもらえたとしたら、『自分なんて』と感じずに素直に聞き入れてみようと思ったり、『とにかく、自分にできることを精一杯やることが大事なんだ』と感じることで、少しずつ、人と比べなくてもいいのかなと思えるようになりました」
――吉田さんは、自己愛の強い天道翼役を演じられました。数多くの女性を弄んでいる…というキャラクターですが、翼の印象や、演じるうえで大事にしたことを教えてください。
吉田「翼の放つ言葉や行為は、本当に最悪です(笑)。でも僕だけは、翼のことを好きでいよう、自分の演じる役は、僕が認めないといけないなと思っていました。翼ももともと悪いヤツだったわけではないと思いますし、単純に“悪人”として演じたとしたら、観客の皆さんにとってもなにも印象に残らないキャラクターになってしまうはず。もちろん女性の大敵ではありますが、どこか愛せる部分や人間味を出せればいいなと思っていました」