スリルが徐々に加速する『カラダ探し』、想像力を掻き立てる『スペンサー ダイアナの決意』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、羽住英一郎監督&橋本環奈主演で人気小説を映画化したホラー、クリステン・スチュワートの名演とともにダイアナ元皇太子妃の決意の3日間を描くフィクション、前田敦子&菊池風磨はじめ人気キャストたちがクズとクズに惹かれてしまう女の姿を描く恋愛ドラマの、パワフルな3本。
謎と恐怖と立ち向かうところが本作ならではのおもしろさ『カラダ探し』(公開中)
小説投稿サイトで人気No.1の携帯小説を、橋本環奈の主演で映画化したZ世代のノンストップ・アクション・ホラー・エンタテインメント!!「ワタシのカラダを探して」──7月5日、女子高生の明日香(橋本)は、学校にいるはずのない少女にそう言われたその日から、深夜0時になるとクラスメイトの5人と一緒に学校にいて、全身が血で染まった“赤い人”に惨殺される同じ7月5日を繰り返すことになるが…。
“赤い人は”はいったい何者なのか?なぜその6人が選ばれたのか?橋本、眞栄田郷敦、山本舞香、神尾楓珠、醍醐虎汰朗、横田真悠といったいまが旬の若手俳優が演じる、それぞれにキャラの立った高校生たちが、逃げ惑うばかりの従来のホラー映画の登場人物とは違い、その謎と恐怖と立ち向かうところが本作ならではのおもしろさだ。
「太陽は動かない」シリーズなどの羽住英一郎監督のスピーディなタッチで、“何度も殺される”映画のスリルとドキドキ感がどんどん加速。青春映画の要素もあって、ただ怖いだけの映画になってないのもいい。ジェットコースターに乗るような気持ちで友だちと一緒に観れば、最高に盛り上がれるに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)
ラストは思いのほか優しい気分に満たされる『スペンサー ダイアナの決意』(公開中)
ダイアナ元妃にとって、人生のターニングポイントだったと思われる3日間を描く。夫のチャールズ皇太子との関係がぎくしゃくしながらも、義理の母、エリザベス女王の私邸で過ごすクリスマス。王室からのプレッシャー、そして夫の不倫によってダイアナは自傷癖や拒食症に苦しんでいた。しかし2人の息子へのまっすぐな愛情と向き合い、彼女はある決意をする…。実録ではなく、あくまでもフィクション。幻想的な演出も盛り込みながら、ダイアナの本心に赤裸々に迫っていく。
ダイアナ役でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたクリステン・スチュワートは、ヘア&メイクで外見から本人に近づきつつ、ダイアナの複雑に揺れ動く心情を細やかに表現し、観ているこちらの想像力を掻き立てる。まさに名演技の見本!全体的にドラマチックというより、落ち着いたムードで進むが、料理やインテリアから伝わる王室の日常、ダイアナのおなじみのファッションが再現されるシーンなど、目を奪われる瞬間もあちこちに。そしてラストは思いのほか優しい気分に満たされる、独特な味わいの一作だ。(映画ライター・斉藤博昭)
生々しい世界観をポップに昇華している『もっと超越した所へ。』(公開中)
ダメ男とのダメな関係に悩める4人の女性の恋愛群像劇は合計8人の俳優たちが振り切った演技を見せ、全員の代表作となりそうな予感。デザイナー真知子(前田敦子)とヒモストリーマーの怜人(菊池風磨)。ギャルの美和(伊藤万理華)とノリで突き進むフリーターの泰造(オカモトレイジ)。シングルマザーで風俗嬢の七瀬(黒川芽以)とプライドがやたら高い顧客の慎太郎(三浦貴大)。バラエティタレントの鈴(趣里)とあざとかわいい、自分大好きな富(千葉雄大)。これ以上、進むことも退くことも困難な状況に陥った4組のカップル。怒り、呆れ、限界に達した彼女たちは想像もつかない怒涛の展開を巻き起こす。
クズな男に引き寄せられる女性の性を如実に描いた劇団「月刊 根本宗子」の舞台を劇団の主宰者で原作者の根本宗子が自ら脚本化。星野源の映像作品を数多く手掛ける映像ディレクター、山岸聖太が監督を務め、生々しい世界観をポップに昇華している。(映画ライター・高山亜紀)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼