ついに帝国軍基地への潜入作戦を決行!先が読めなさすぎる「キャシアン・アンドー」前半戦を総括
「はみ出し者たちの寄せ集めチームでミッションに挑むところに熱量を感じます」(下田)
佐藤「アルダーニの人たちはチベットの人々のような雰囲気があったね。鈴を持っていたりして。アルダーニが舞台になってからキャシアンの服装も高山地帯のそれに変わっていきました。しかし、アルダーニの反乱分子は、計画が甘いというか危なっかしい人たちだったよね。『キャシアン以外に誰も船を操縦できないの!?』って(笑)。でも、だからこそ彼らの作戦がスリリングになる」
下田「そういう意味では『ローグ・ワン』に寄せていますね。『ローグ・ワン』は『七人の侍』からの影響を感じましたが、限られた人数で、しかもはみ出し者たちの寄せ集め。そんなチームでミッションに挑むところに熱量を感じます」
西川「で、そのミッションが帝国軍の四半期分の給料資金を盗むという。この流れ、現実的ですごくいいですね。一瞬、それだけ!?って思うかもしれないけど、たしかに給料を盗まれたらみんな困るし、組織にとっても大打撃ですよ」
佐藤「そうそう。皇帝やダース・ベイダーが登場する帝国はとても怖いという印象があったけど、このドラマでは末端に属する組織の実情が描かれているというか、現実社会にも通じるシビアな世界観なんだよね。帝国保安局では『今日は残業だからな!』みたいな会話もあったし」
「生活感が画面の端々に見えるのは、とてもしっかり作られていることの表れ」(西川)
西川「残業といえば、第5話で同僚と一緒にこっそり残業していた女性局員のデドラ(デニース・ゴフ)がなにかを発見した時の達成感。あれ、僕らの職場とあまり変わらないじゃないですか。会社感があって、我々の世界と地続きでした。それとカーンとお母さんの会話も庶民的だった。食卓に出されるシリアルはマズそうでした(笑)」
下田「ブルーミルクをかけて食べるあれですね。『スター・ウォーズ エピソード 4/新たなる希望』とかでルークが飲んでいたミルクと同じなのかな?あれもおいしそうには見えなかったけれど」
西川「寒色系の食物は、人間の食欲を誘わないらしいですね。で、たしか『キャシアン・アンドー』の初回でも、テイクアウトの青いヌードルが出てきた気がする」
佐藤「ここまで出てきた食べ物はどれもマズそうだよね(笑)。慣れれば飲めると言われて差し出されていたけど、キャシアンが捨ててしまうヤギのミルクみたいなやつもそうだったし」
下田「反乱分子の人たちがあのミルクを飲むタンブラー、メンバーそれぞれが自分のものを持っていて、印象的でした。持ち手のところだけ銀のアウトドア仕様になっているなど、細かいとこも凝っているなと感心しました」
佐藤「そういう意味でも、『スター・ウォーズ』を我々の日常にグッと寄せてきている気がする。キャラクターの生活感が見えてくる、という点では、まさにそうですね」
西川「映像作品で、そういう要素はなにげに重要ですからね。生活感が画面の端々に見えるのは、とてもしっかり作られていることの表れだと思います」
下田「そうですね。それも『スター・ウォーズ』という強い世界観があることが前提だと思います。そこに我々と同じような生活感のある世界を築いていくのが、『キャシアン・アンドー』のおもしろさなのかもしれません」