作家、井上光晴の長女、井上荒野が父と瀬戸内寂聴の関係を描く『あちらにいる鬼』新場面写真が解禁

直木賞作家、井上荒野による、父で作家の井上光晴と母、そして瀬戸内寂聴をモデルに描いた小説を寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子で映画化する『あちらにいる鬼』。11月11日(金)に公開される本作より、新場面写真が解禁となった。

作家、井上光晴と妻、そして恋人の瀬戸内寂聴の関係を描いた『あちらにいる鬼』より新場面写真が解禁[c]2022「あちらにいる鬼」製作委員会

原作は、昨年11月、満99歳で波乱の人生を全うした作家で僧侶の瀬戸内が、発売当時「作者の父、井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった」とコメントし話題となった井上による「あちらにいる鬼」。1960年代から作家として活躍した瀬戸内晴美の出家した背景には、同じく作家で、妻子ある光晴との恋があった。互いにのめり込んでいく2人と、それを全てを承知しながらも、心を乱さない男の妻を、光晴の長女である井上が書き上げた物語が原作となっている。主人公の長内みはる、のちの寂光役に寺島、光晴をモデルとした白木篤郎役に豊川、白木の妻である笙子役に広末が発表されている。また、廣木隆一監督がメガホンをとり、高良健吾、村上淳、蓮佛美沙子、佐野岳、宇野洋平、丘みつ子らが共演する。

このたび解禁となった場面写真には、既に長い髪を剃り落とし、法衣に身を包んだ、主人公の長内、もとい寂光の姿が映し出されている。かつての恋人であった白木の自宅で、その家族と共に食卓を囲んでいる様子から、彼らの関係の稀有であることが伝わるものとなっている。篤郎の妻である笙子の手料理を口にする寂光の隣には、原作者をモデルにした白木家の長女の姿も映し出されている。「一般的には夫に愛人ができたら、相手の女を憎むのが普通だと思われているけれど、普通なんてどこにもないんですよね。もともと母は、父の他の女の人のことを私たちの前で悪く言ったことはないんです。寂聴さんに対してはむしろ、どうしようもない男を愛した者同士としてのシンパシーがあったのかなと思います」と当時渦中にいた作者は振り返っている。