話題のホラー『Smile』が北米V2!来年のアカデミー賞の有力作品も登場

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話題のホラー『Smile』が北米V2!来年のアカデミー賞の有力作品も登場

ハロウィンに向けた作品や賞レースを意識した作品が出てくるなど、8月から続いてきた作品不足がようやく解消されつつある10月。先週末(10月7日から9日)の興収ランキングは、前週初登場1位を飾ったホラー映画『Smile』が2週連続Vを達成。前週比8割近い興収を維持し、すでに累計興収は5000万ドルを突破。配信リリースから劇場公開へ切り替えたことが功を奏したようだ。

【写真を見る】往年の人気絵本がハイブリッドで実写化!奇跡の歌声を持つワニが主人公のミュージカル
【写真を見る】往年の人気絵本がハイブリッドで実写化!奇跡の歌声を持つワニが主人公のミュージカル[c]Everett Collection/AFLO

とはいえ全体的な興行収入は、まだ6000万ドルを下回るなど低調な情勢が続いている。2位に初登場を果たしたのは、50年以上の人気を誇るベストセラー絵本を実写/アニメのハイブリッドで映画化した『シング・フォー・ミー、ライル』(2023年3月24日日本公開)。人気シンガーのショーン・メンデスがワニのライルの声を担当し、ハビエル・バルデムやコンスタンス・ウーが共演したミュージカル作品だ。

4350館というかなりの大規模で公開されながらも、初日から3日間の興収は1140万ドル。これはサマーシーズンに公開された『DC がんばれ!スーパーぺット』(22)の4332館で1105万ドルというオープニング成績とほぼ同水準。同作はファミリー向け作品が不足するなかで安定した興行を持続させ、公開から2ヶ月で興収9000万ドルに到達しており、『シング・フォー・ミー、ライル』も来月の感謝祭シーズンに向けてファミリー層をどこまで取り込めるかが大きなカギとなることだろう。


デヴィッド・O・ラッセルの新作『アムステルダム』はまさかの不発…
デヴィッド・O・ラッセルの新作『アムステルダム』はまさかの不発…[c]Everett Collection/AFLO

一方、3位に初登場を果たしたのはデヴィッド・O・ラッセル監督のオールスター映画『アムステルダム』(10月28日日本公開)。こちらも3005館という大規模公開ながら、興収はわずか644万ドルという寂しい出足に。当初は賞レースを狙えるかもとの見方も強かった作品だが、批評家からの評価も伸び悩み気味。「The Hollywood Reporter」の報道では、製作費の8000万ドルと海外キャンペーンの7000万ドルの回収は絶望的で、総額1億ドル近い赤字になる可能性も指摘されている。

今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いたリューベン・オストリュンド監督の英語劇『Triangle of Sadness』は10館の限定公開ながら1館あたりの興収21460ドルの高アベレージで21位にランクイン。『パラサイト 半地下の家族』(19)を頂点に導いた配給会社NEONが今年の賞レースに送り出す有力作として注目されるだけに、その期待に応える格好となったが、それを上回るハイアベレージを叩き出したのはフォーカス・フィーチャーズが配給する『Tár』の方だ。

ケイト・ブランシェットがヴェネチアで女優賞に輝いた『Tár』はオスカーの有力候補へ
ケイト・ブランシェットがヴェネチアで女優賞に輝いた『Tár』はオスカーの有力候補へ[c]Everett Collection/AFLO

トッド・フィールド監督の16年ぶりの新作で、ヴェネチア国際映画祭ではケイト・ブランシェットが女優賞に輝いた『Tár』。4館の限定公開で、1館あたりのアベレージ興収は39655ドル。これは前作『リトル・チルドレン』(06)や、その前のアカデミー賞作品賞候補作『イン・ザ・ベッド・ルーム』(01)のオープニングアベレージの倍近い数字。もちろん批評家からの評価も高く、第95回アカデミー賞の有力作に堂々と名乗りを上げることになるだろう。

文/久保田 和馬

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