元宇宙飛行士の毛利衛「宇宙人に会いたい」『ぼくらのよあけ』で杉咲花が演じた主人公が「うらやましい!」
今井哲也のSFジュブナイル漫画を劇場アニメ化した『ぼくらのよあけ』の公開記念舞台挨拶が10月22日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、沢渡悠真役を務めた杉咲花、黒川智之監督、宇宙がテーマとなる映画にちなみ、スペシャルゲストとして元JAXA宇宙飛行士の毛利衛が登壇。杉咲の宇宙に関する疑問に、毛利が答えた。
「月刊アフタヌーン」で連載され、日本でもっとも長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった同名漫画を映画化した本作。西暦2049年の夏を舞台に、阿佐ヶ谷団地に住む小学校4年生の沢渡悠真と仲間たちが、沢渡家の人口知能搭載型家庭用オートボット“ナナコ”をハッキングした、未知なる存在を宇宙に帰すために奮闘する姿を描く。杉咲が、宇宙とロボットが大好きな主人公の悠真役を演じた。
「2度ほど宇宙に行った」という毛利は、「毎回、宇宙人に会いたいなと思っています。残念ながら、いままで宇宙飛行士の誰も会っていないと思うんですが、悠真くんは会ったんですよね。うらやましいです」とお茶目に語り、杉咲も楽しそうな笑顔を見せていた。
この日は、事前にSNSなどを通して集まった質問に3人が答えることになった。「壮大な宇宙を旅できるとしたら、誰とどのような景色を見たいですか?」との質問が投げかけられると、杉咲は「母親と、太陽に照らされた地球を見てみたいですね。いつもは光を受けている側なんですが、光の当たった地球はどんな景色なんだろうと気になります」と宇宙への興味をのぞかせた。黒川監督は「友だちを連れて行けるだけ連れて、地球を見ながらああだこうだと、男友だち同士のバカ話を宇宙でしてみたいです」と希望を語っていた。
すると杉咲は「記憶に残っている景色は、どのようなものですか?」と、実際に宇宙に行った毛利に問いかけた。毛利は「やはり一番最初に宇宙に行って、窓から地球を見た時ですね」と回答。「漆黒の宇宙と、青々と輝く地球の対比が美しかったので、非常に記憶に残っています」と宇宙から見る地球はとても美しいものだったという。黒川監督は「地球を見た時は、大きく見えましたか?小さく見えましたか?」と質問。毛利は「すばらしい質問ですね」と笑顔を浮かべ、「最初は大きいなと思ったんです。でも地球を一周するのに90分しかかからない。90分で一周できる球のうえにすべての生命があるのかと思ったら、小さく見えた」と実感を込めながら明かしていた。
また主人公たちがミッションに挑む映画にちなみ、「これまでに大変だったと思うミッション」について杉咲が答えるひと幕も。「最近、撮影で地方に通う機会があった」という杉咲だが、「新幹線に乗っていたら大雨が降ってきてしまって。6時間、新幹線が止まった」と告白。「その間にコンビニに行ける時間があって。とある駅に止まっていたんですが、ホームに行くためには横に止まっている新幹線を渡って、コンビニに行かないといけない。なかなかできない経験でした」と苦笑いを見せながら、「結局その新幹線は地方まで行けず、東京に引き返して。次の日に飛行機で行きました。現場に行けないのではないかと思った」と苦労を振り返っていた。
取材・文/成田おり枝