ついに明かされる『ONE PIECE FILM RED』制作秘話!プロデューサー陣が振り返る、“100億円”の先への挑戦
「企画、制作、宣伝…チームが一丸となって『FILM RED』が成り立っている」(高野)
高野「私はヒットの要因には、シャンクスというキャラクターの存在が大きくあると思います。さらに原作では、「ワノ国編」がクライマックスを迎え、1か月の休載を挟んで“最終章”として再開したことで、いつも読んでくださっている方はもちろん、少し離れていたかつてのファンも戻ってきているという背景もヒットを加速する要因となりました。『FILM RED』公開直前には、『新時代』という副題で、シャンクスが登場する話となり、週刊少年ジャンプ誌上では原作と映画が相乗効果で盛り上がっていけたと思います。
本作は歌モノなので、当然いままでの『ONE PIECE』映画の表現とはだいぶ変わりましたが、それゆえあまり『ONE PIECE』を知らない方や読んでいない人にとってのハードルの低さというのもヒットの要因だったと感じています。その入りやすさを作るためにウタというキャラクターを生み出し、彼女に注力したのも大きなポイントです。『このキャラでやっていくぞ!』という宣伝を強く打ち出したことで、『ONE PIECE』を知らなくてもこのキャラクターを1人のアーティストとして捉え、彼女の動向を観に行こうという流れができてヒットにつながった気がします」
梶本「企画、制作、宣伝とすべての歯車がここまで噛み合うことは、実はめったにないことだと思います。尾田先生も『奇跡が起きていますね』と表現されていたのですが、本当にそうだなと感じています。音楽に関しては、制作アーティストの皆さんに『ONE PIECE』が好きな人たちが集まり、とにかくいいものを作ろうという気持ちが一つになったことで、こういう現象が起きたのだと実感しているところです。まだまだ続いている宣伝を見ていても、本当に関わっているみんなが『ONE PIECE』が好きだからこそできることだなと、うれしく思っています」
高野「適切なタイミングで適切なものをしっかり打ち出してくださった宣伝の力はすごく大きいと思います。映画を観てくださった方も含めてチーム一丸となって『ONE PIECE FILM RED』が成り立っていると思っています」
梶本「とはいえ、100億は僕たちにとって未知の数字です。これまでのアッパーが68億円でしたので、『ONE PIECE』を知らない人が観ても楽しめる物語にし、間口を広げる必要があると思っていました。その点でいうと、『ONE PIECE』のテーマでもあり、誰にとっても普遍的なテーマでもある『家族』を要素として取り入れたり、音楽をメインの要素として盛り込んだことは、間口を広げることに一役買ってくれたと思います」