キャシアンが規則正しい囚人生活をスタート!?待望のあの人も登場した「キャシアン・アンドー」第8話レビュー

コラム

キャシアンが規則正しい囚人生活をスタート!?待望のあの人も登場した「キャシアン・アンドー」第8話レビュー

ディズニープラスで独占配信中の「キャシアン・アンドー」。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で活躍した情報将校、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)を主人公に、彼のバックグラウンドと反乱軍の誕生の裏側を描いたファンの間でも話題沸騰中のドラマシリーズを、MOVIE WALKER PRESSでは、映画メディアの編集長やライターたちによるリレーレビュー連載で毎週追っていきます。第8話のレビューは「月刊シネコンウォーカー」編集長の佐藤英樹がお届けします。

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

思わず心配になる?粛々と囚人生活を送る主人公キャシアン・アンドー

第8回。主人公らしくないキャシアン・アンドーにやきもきする回です。第7回で街中のいざこざのとばっちりで捕まり、6年の刑期で刑務所に送られるアンドー。収容先はタイトルにもなっている「ナーキーナ・ファイブ」。不思議なのは無実の罪で捕まったのに、「俺は観光客だー!」と叫んだあとは反論することなく順従な態度であること。帝国の四半期分の給料を強奪した銀河を駆けるアウトローであり、将来は反乱軍情報将校となる男とは思えないほど大人しい。心配だ。が、言われるがままに連行されつつも、床からの電流をシャットアウトする監視官用の靴の保管場所を確認したり、彼らの業務のルーティンに耳を傾けていたりと、あ、ちゃんと脱出するつもりあるのね。そのためにわざと大人しくしているのね、さすが我らがヒーロー、キャシアン!とちょっと安心する。

無実の罪で捕まってしまったキャシアン・アンドー、たどり着いたのは…
無実の罪で捕まってしまったキャシアン・アンドー、たどり着いたのは…[c]2022 Lucasfilm Ltd.

と、安堵したのも束の間、通路で整列させられているシーンでは、キャシアンの目が完全にいっちゃってる。精神的にもうきてる感じです。そのあとも、あっさりと30シフト経過し、しかもこの生活に慣れきってしまったかのようなキャシアン。食事後のお皿もちゃんと所定の場所に戻し、仕事もテキパキとこなす。そこに燃えたぎる情熱や信念のようなものは見えず、もはやふつうの感じのいいお兄さんです。週末に高円寺あたりで、首からレトロな一眼レフを下げ、賑わいを見せる通りから一歩入った遊歩道でなにげない写真を撮る美大生のような、穏やかな雰囲気です。いや、大丈夫かキャシアン!と、問いかけずにはいられない。とはいえ、キャシアンの気持ちをわからないでもない。


キャシアンが割り当てられたのはユニット52D。監督係を務めるキノ・ロイ役でアンディ・サーキスが出演!
キャシアンが割り当てられたのはユニット52D。監督係を務めるキノ・ロイ役でアンディ・サーキスが出演![c]2022 Lucasfilm Ltd.

まだこの時代、帝国の支配が非道すぎるわけでもないのだ。モン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)たちのいる上流階級では、現政権に対して批判的な議論がされていたり、一応の民主的な社会が形成されているし、ストームトルーパーたちに給料だって支払われている。シリル・カーン(カイル・ソラー)は標準局でホワイトカラーとして再就職できたし、刑務所もどちらかというとブルーカラーの工場といった雰囲気。食事は労働時間以外は自由に摂っていいし、シェーバーまで付いている。「賭博黙示録カイジ」のハンチョウ的立場でアンディ・サーキスがキノ・ロイ役で登場するが、この人もちゃんと役割をやりきれば刑期満了で出所できる目標を持っており、現状に不満を言うでもなく、この社会を肯定してしまっている。目標の設定や他と競わせノルマを達成させるという仕組みは、人を本当にやりたいことや大義を忘れて目の前の作業に没頭させてしまう。現在の社会構造と似通った部分もあり、それだけにちょっと怖くなる。

帝国保安局のデドラ・ミーロが標準局に再就職したシリル・カーンと接近!?
帝国保安局のデドラ・ミーロが標準局に再就職したシリル・カーンと接近!?[c]2022 Lucasfilm Ltd.
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