重大な秘密を知ったキャシアン…いよいよ脱獄へのカウントダウンが始まる!「キャシアン・アンドー」第9話をレビュー
ディズニープラスで独占配信中の「キャシアン・アンドー」。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で活躍した情報将校、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)を主人公に、彼のバックグラウンドと反乱軍の誕生の裏側を描いたファンの間でも話題沸騰中のドラマシリーズを、MOVIE WALKER PRESSでは、映画メディアの編集長やライターたちによるリレーレビュー連載で毎週追っていきます。第9話のレビューはライターの久保田和馬がお届けします。
※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
3つの物語が交錯!登場人物たちに意外なつながりが…
アルダーニ要塞への襲撃を物語の大きな転換点に据えた「キャシアン・アンドー」。後半戦に突入してからは“追う者”(=シリル・カーンやデドラ・ミーロ)と“追われる者”(=キャシアン・アンドーとルーセン・レイエル)の構図に、さらに多くの登場人物が介入することでより多層に、複雑なドラマが展開していく。現にこの第9話においても、ルーセン(ステラン・スカルスガルド)の出番こそなかったとはいえ、大きく3つの動きが同時進行で描写されていった。
帝国の工場施設であるナーキーナ・ファイブに収監されたキャシアンと、そこで監督役を務めるキノ・ロイ(アンディ・サーキス)をはじめとした囚人たち。キャシアンと“アクシス”ことルーセンを追うためにビックス・カリーン(アドリア・アルホナ)に尋問をかけ、なぜかシリル・カーン(カイル・ソラー)にストーキングされる羽目になるデドラ・ミーロ(デニース・ゴフ)。
そして資金集めのために暗躍するモン・モスマ(ジュネヴィーヴ・オーライリー)のもとには、いとこであるヴェル(フェイ・マーセイ)が訪ねてくる。まさかモスマとヴェルにこのようなつながりがあるとは、ちょっと意外な展開である。
とにもかくにもキャシアンがあまりにも不条理な理由で捕らえられて6年の刑が言い渡された時点で、この第3章のクライマックスが刑務所、すなわちナーキーナ・ファイブからの脱獄であるということが約束されたようなものだ。案の定、今回キャシアンはロイに「脱獄を考えたことは?」「看守の人数は?」と訊ねるのだが、聞き入れてもらえない。それでも作業場のトイレの壁を外して排水管になにか細工をしているシーンからわかるように、彼の頭のなかでは着々と脱獄へ向けた準備が進んでいるようだ。
搾取的な強制労働によって、絵に描いたようなディストピアを体現するナーキーナ・ファイブの一連のシーン。そこには「スター・ウォーズ」シリーズとしてでもSF映画としてでもなく、『抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より』(56)や『大脱走』(63)のような王道脱獄映画の味わいを感じることができ、映画ファンとしても高揚感が尽きない。