亡霊の出る廃城で過ごす一夜…魔法もスリルも加速する「ウィロー」第4話をレビュー!
前作とダイレクトに繋がる胸熱なクライマックス!
儀式の最中にグレイドンが見る幻影に、彼の体に刻まれた痕。そして終盤で見られる、ガラドーンの世継ぎとなるはずだった兄を木から突き落とした少年期の回想。グレイドンというキャラクターには、まだ明らかになっていない闇の深い過去がありそうだ。
それ以外にも今回、いくつかの事実が判明する。前作のラストでバヴモルダは倒されたのではなく自滅していたということ。そのバヴモルダに邪悪な力を授けたのは“ワーム修道会”という秘密結社だということ。“6人の血”と呼ばれる、かつて闇に寝返った妖精たちの血脈がバヴモルダに、そしてキットにも受け継がれているということ。
さらに前回ボーマンが“へべれけ子羊の宿”で手に入れていたのは、“カイメリアの胸当て”を起動させる魔法の鍵“ラックスアルカナ”であること。本作は全8話で展開するので、この第4話でちょうど折り返し地点。これだけ並べられたいくつもの伏線が今後どのように回収されていくか。後半戦はかなりの密度になることが予想される。
また、これまでの旅の道中あれだけギクシャクしていたキットとエローラの距離感が近づいたことも見逃せない。城の廊下でエローラはキットの正面に腰掛け、森で出会った女性たちのことを話しながら自分の無力さを打ち明ける。そんな弱気なエローラに発破をかけ、彼女を魔法の使い手として開眼を後押しするキット。ようやく“仲間”らしくなってきた。
そしてクライマックスの舞台となった城の塔の上層階は、まさしく前作のラストの戦いが繰り広げられた場所だ。寄生されたグレイドンがバブモルダの遺志を継ぐように“十三夜の儀式”を行おうとするなか、ホログラムのようにその場に現れる、かつての戦いの光景。さらにフィン・ラゼルとソーシャ(ジョアンヌ・ワーリー)に重ねられてキットたちが現れる瞬間には、かなり胸が熱くなる。
前作を知らなくても楽しめるという今回のドラマシリーズのスタンスは貫き通しながらも、前作のファンの心をくすぐるシーンの連続。ここにきて改めて、「『ウィロー』の続編を観ているんだ…!」としみじみ感じてしまうほどだ。こうした前作とダイレクトに繋がる部分が、今後もここぞというタイミングで出てくると期待したい。
文/久保田 和馬