【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第10回 かわいくありたい
私の顔も体も私にしか愛せないと覚悟を決めた
「人の真似はしてもいいけれどベースは『自分』であるべき」と言ってくれたクレージュの赤いタートルネックがよく似合うお姉様がいた。その時はピンと来なくて、「ふげぇ細胞に覚えさせますう」なんてふざけたことを抜かしてたのだが、今やそのアドバイスは私の心の奥深くまで染み渡っている。噛み砕き、飲み込み、そしてようやっと自分のものにできるようになった。
「私は何が好きか」、「私は何が似合うのか」。簡単なことのようで、私はなかなか受け入れられなかった。「現実を直視する心に、本当の理想が生まれる」とゲーテだって言ってる、らしい。あの時の私は「顔」を通して愛を得たかったのかしらと思ったり。我ながらいじらしい。「かわいくさえなれば愛される」なんて本気で思い込み、第三者のためにかわいくならねばと思っていたのだ。相手の反応をうかがい、それによって気持ちが左右される、こんな生活まっぴらごめんだと私は思い直した。「これでいいや」じゃなくて「これがいいや」。私の顔も体も私にしか愛せないと覚悟を決めた。私が実家に置いてきたものは、そんな昔の自分である。
かわいくなるのは大変だ。お金はかかるし、継続しないといけない。だけど、何がうれしいって頑張った結果、自分に自信がついたことを実感することだ。ただトレーニングで自分の理想のお尻に近づけたり、綺麗なランジェリーを身につける。それだけのことで少しは自信が持てる。自分の心地よさのために私は頑張っているのだ。
前回のコラムに力を入れすぎて、私のアタマが「もうお前に使われたくない」なんて悲痛な声をあげていた。まあ年末なんで。で、今回は「かわいいモノについて」というコラムにする予定だったのだが、今までさんざん人生のアレコレみたいなのを書いてきたので、書きながらあれ、なんでいきなり物について書いてんだなんて思ってしまい、「かわいくありたい」という方向に変えちゃったのだ。変えたはいいけれど、今度はあれ、私前と同じこと言ってないか、ヒェーどうしようヒェーなんてアタフタして。少し調子を変えて、「私は安野モヨコ先生だー」なんて勝手になりきりながらハートフルに書いてみました。まあ、年末ですから。みなさんもしばらくの間は「年末ですから」「年始ですから」を言い訳に、自分に優しく、そして甘く。手を抜きつつ過ごしてください。
以上、しいたけ占いの座を狙っているMINAMOでした。2022年よ、サラバじゃ。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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