「スター・ウォーズ」に通じる父と子のドラマに、“緑と赤”のバトルシーン…エモさ満点の「ウィロー」最終話をレビュー!
ヴァル・キルマーとジョアンヌ・ウォーリーの息子が、マッドマーティガンの声を担当!
ちなみに本作でマッドマーティガンの声を担当したのはジャック・キルマー。前作でマッドマーティガンを演じたヴァル・キルマーを父に、今作でも引き続きソーシャを演じたジョアンヌ・ウォーリーを母に持つ若手演技派俳優だ。前作の共演をきっかけに私生活でも結ばれた2人の息子をこの役で起用するとは、なんとも心憎いキャスティング。今作を吹替え版で鑑賞している人も多いと思うが、2周目はぜひとも生の声が味わえる字幕版で楽しんでほしい。
クローン軍団とのバトルでは、散り散りになった旅の仲間が再集結。クライマックスだけに、全員が持てる力をフルに生かして大暴れを見せつける。なかでも白熱するのがウィローの呼びかけで真の魔法使いとして覚醒したエローラが、クローンと繰り広げる激しい魔法バトル。自信あふれる眼差しで相手をにらむエローラと虫のような醜い姿を露わにしたクローンが、互いに指先から電撃パワーを放ちながら一進一退の攻防戦を展開する。正義のエローラはグリーン、クローンはレッドの光を放つが、これは「スター・ウォーズ」のジェダイとシスと同じ色分け。薄暗い神殿で2色の火花が激しく交差するバトルは圧巻だった。一方、父の剣を手にしたキットがジェイドと2人でクローンの魂を受け継いだエリクと剣を交える兄妹バトルでは、感情をゆさぶる戦いを見せつけた。
“不滅の都”への長い旅は正義のための戦いであるだけでなく、魔法使い、予言の子、勇敢な騎士たち、盗人、囚われた王族…それぞれのキャラクターが自らの使命に気づかされ、苦しみ悩みながらもまっとうする心の旅の物語でもあった。しかし本当の敵ワームの目的を知らされた彼らの旅は、まだ始まりにすぎない。本作は古い書物を開くシーンで幕が開けるが、最終話の第8話のラストシーンでその本は閉じられる。そしてその時、この物語の全容が明かされるのだ。それを知ったいまは第2章が楽しみでしかたない!
文/神武団四郎