『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』から20年…ジャックやウィル、エリザベスを演じた彼らの“いま”を追う!
シリーズ皆勤賞の名優、ジェフリー・ラッシュ:ヘクター・バルボッサ役
ジャックからブラックパール号の船長の座を奪った元一等航海士のヘクター・バルボッサ。本作におけるヴィランを演じたのは、『シャイン』(95)で第69回アカデミー賞主演男優賞を受賞し、オーストラリア人として初めてのオスカー俳優となった実力派のジェフリー・ラッシュだ。シリーズにおいては『~最後の海賊』までの5作すべてに出演し、デップと共に皆勤賞。俳優としては、『ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方』(04)でエミー賞の主演男優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門)、2009年には舞台「瀕死の王」でトニー賞主演男優賞にも輝き、アカデミー賞、エミー賞、トニー賞の3つを獲得する栄誉に輝いている。
その後も、『英国王のスピーチ』(10)でイギリス王ジョージ6世の吃音の治療にあたった言語療法士や、ジュゼッペ・トルナトーレ監督作『鑑定士と顔のない依頼人』(13)での美術鑑定士など、クレバーで一癖ある役柄で名演を披露。しかし、2018年に過去の不適切行為が明るみとなってしまい、オーストラリア映画協会の会長を自ら辞任すると、『ジャコメッティ 最後の肖像』(17)以降は詳細な活動のニュースは届いていない。
70歳を超えてさらなる活躍を見せるジョナサン・プライス:スワン総督役
エリザベスの父であるスワン総督役に扮しているのは、イギリスが誇る名優ジョナサン・プライス。もともと出演作が途絶えることのない人気俳優ではあるものの、『天才作家の妻 -40年目の真実-』(17)での主人公の夫であるノーベル賞作家役や、Netflix映画『2人のローマ教皇』(19)における次の教皇の座を受け継ぐことになる枢機卿役、そして『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(18)での自身をドン・キホーテと思い込む老人役など、重要な役どころで相次いで出演(『2人のローマ教皇』では第92回アカデミー賞主演男優賞にノミネート)。さらに、Netflixのアニメーション映画『スクルージ: クリスマス・キャロル』(22)では、主人公スクルージの父親役で飄々とした声の演技を披露するなど、70歳を超えてますます目覚ましい活躍を見せている。
『キングスマン』にも出演したジャック・ダヴェンポート:ジェームズ・ノリントン役
海賊討伐に執念を燃やすノリントン提督を演じたのは、イギリス人俳優ジャック・ダヴェンポート。本作以降は、デップが主人公を演じた『リバティーン』(04)や人気スパイ・アクションシリーズの第1作『キングスマン』(14)に出演したほか、『ザ・タンク』(17)では火星探査訓練で南極の密閉施設に長期間閉じ込められる宇宙飛行士役を熱演。また、アメリカの人気ドラマシリーズ「ザ・モーニングショー」にも参加している。
ジャック・スパロウのつかみどころのないキャラクターや、シリーズを追うごとにスケールアップしていく世界観やアクションで、世界を席巻した「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ。名演を見せてきたキャストたちの活躍を味わうと共に、『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』の成功によって始まった物語の歴史に思いを馳せてほしい。
文/足立美由紀