ダークホースのNetflix映画『西部戦線異状なし』とは?第95回アカデミー賞のサプライズノミネーション
現地時間3月12日(日)に授賞式が行われる第95回アカデミー賞のノミネーションが1月24日、ついに発表された。最多ノミネートを獲得したのはA24製作の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(3月3日公開)で、作品賞や監督賞を含む10部門で11ノミネート。賞レースの主役と期待されてきた作品が盤石の強さを見せつけた。本コラムでは大本命作品を始めとしたノミネート作品を振り返りつつ、ダークホースとなったNetflix映画『西部戦線異状なし』やサプライズ作品となった候補作を一挙にチェックしていく。
『エブエブ』が圧倒的パワーでオスカーへまっしぐら!
「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟が製作を務めた『エブエブ』こと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、破産寸前の主婦エヴリンの前に“別のユニバースから来た”夫のウェイモンドが現れ、突如として世界の命運を託されることになる奇想天外なアクションエンタテインメント。2022年3月に北米公開を果たして以降、話題が話題を呼び、A24作品の興収新記録を更新。すでに世界中の映画賞で228受賞484ノミネートを達成している。
主人公エブリンを演じたミシェル・ヨーは、アジア系女優として初の主演女優賞ノミネートを達成。また、助演男優賞には『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(84)や『グーニーズ』(85)で人気を博し、これが20年ぶりのハリウッド映画復帰となったキー・ホイ・クァンがノミネート。両者とも前哨戦の第80回ゴールデン・グローブ賞で受賞を果たしており、近年のアカデミー賞のトレンドとなっているアジア旋風が今年も起きることに期待が寄せられている。さらに助演女優賞にはジェイミー・リー・カーティスとステファニー・スーの2名もノミネートされた。
監督賞にノミネートされたのは“ダニエルズ”ことダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督。これまで同部門でコンビ監督が候補入りを果たしたのは『ウエスト・サイド物語』(61)のロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンズ、『天国から来たチャンピオン』(78)のウォーレン・ベイティ&バック・ヘンリー、『ノーカントリー』(07)と『トゥルー・グリット』(10)のコーエン兄弟の4例で、うち『ウエスト・サイド物語』と『ノーカントリー』は受賞を果たしている。5例目となった“ダニエルズ”が、これに続けるのか注目だ。
『エブエブ』と共に前哨戦をリードし、第80回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ミュージカル・コメディ部門)など3部門を制したサーチライト・ピクチャーズ作品『イニシェリン島の精霊』(公開中)は、作品賞や監督賞と脚本賞、コリン・ファレルの主演男優賞、ブレンダン・グリーソンとバリー・コーガンの助演男優賞、ケリー・コンドンの助演女優賞など、8部門9ノミネート。
ほかにバズ・ラーマン監督の『エルヴィス』(22)が作品賞を含む8部門で候補にあがり、スティーヴン・スピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』(3月3日公開)が7部門、『トップガン マーヴェリック』(公開中)は最有力と目された撮影賞での候補を逃したものの、作品賞や脚色賞など6部門で候補入りを果たした。