「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ全5作に登場!ジャックの宿敵、バルボッサの活躍を追う
ジョニー・デップが孤高の海賊を好演し、シリーズ5作が製作された大ヒット作「パイレーツ・オブ・カリビアン」。酒と自由を愛する海賊船長ジャック・スパロウ(デップ)の大冒険を描いた本シリーズで、彼の宿敵として大暴れしたのがヘクター・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)だ。かつて海賊船ブラックパール号で一等航海士を務めていたバルボッサは、財宝に目がくらんで船長ジャックから船を奪った裏切り者。シリーズ5作すべてに登場し、ジャックと激しいバトルを繰り広げたが、時に彼と手を組んだり救出に一役買うなど意外な一面も見せていた。そんなバルボッサの魅力を振り返ってみたい。
ジャックの前に何度も立ちはだかる“ザ・海賊船長”
バルボッサは百戦錬磨のベテラン海賊。目的のためには手段を選ばず、意に反する者は誰であろうとその場で“処分”してしまう冷酷な性格だ。髭をたくわえ、ダチョウの羽をあしらった大きな帽子にロングコートを身に纏い、もったいぶった態度で振る舞う姿は、まさに“ザ・海賊船長”。世界に9人いる、伝説の海賊の1人なのも納得だ。ペットは小さな猿ジャック(スパロウにちなんで命名)。初老にさしかかろうという年齢だが、剣を握ればジャックと互角に立ち回り、銃の腕も正確だ。
作法や伝統を重んじる一方で、海賊らしい狡猾さや残酷さも
そんなバルボッサが初登場したのが、シリーズ第1作『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(03)である。呪いのかかったアステカの金貨を奪ったことから、バルボッサと子分たちは酒を飲んでも酔えずなにを食べても味がしない“生ける屍”として現れる。10年がかりで使った金貨を1枚残らずかき集め、呪いを解く儀式をしようとした彼の前にジャックが立ちはだかる。
長年にわたる海賊稼業で、その作法が骨身にしみ込んでいるバルボッサ。“海賊の掟”にも忠実で、捕らえた総督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)が交渉を持ちかけた時もきちんとそれに応じていた。ただし巧みな話術で自分の思い通りに交渉を進め、のちに相手が文句を言っても「それは交渉に含まれていなかった」と言い捨てる狡猾さはシリーズで何度も描かれた。
殺しなどは朝飯前のバルボッサは、用が済んだエリザベスも海へと突き落としたが、彼女に対する態度にはどこか温情がにじんでいた。気品があって気が強く、度胸も据わったエリザベスは海賊好みの美女。バルボッサもその魅力の虜になったのかと思っていたが、第5作『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(17)で彼に娘がいたことが判明する。もしかするとバルボッサは、エリザベスに娘の面影を重ねていたのかもしれない。それでも容赦なく命を奪おうとするあたり、さすが海賊である。