映画館の座席を持って帰れる! 予約殺到、即完売した「池袋HUMAXシネマズ」フリーマーケットに潜入
1月28日、29日の2日間、東京・池袋のシネコン「池袋HUMAXシネマズ」にて、実際に映画館で使われていた“座席”などを販売するフリーマーケットが開催。あらかじめ商品を予約購入していた映画ファンたちが駆けつけ、椅子の取り外しや運搬を行う姿が見られた。
このたびのフリーマーケット開催の旨は、2023年1月6日に池袋HUMAXシネマズの公式サイトにて発表された。これは1月26日をもって、同劇場の2スクリーン(シネマ5・シネマ6)が閉館することになったため打ち出された企画で、取り扱う商品は座席をはじめ、劇場のドア、ゴミ箱、もぎり台など実に多彩。
いずれも、映画館に足しげく通う人にとってはたまらないアイテムばかりで、発表から約2週間(1月19日時点)で全商品が予約完売したという。
劇場総支配人の長谷川雄一氏によると、今回の企画は“スクリーンの閉館が決まった際”に急遽、思いついたものだそうで、座席販売の経緯については以下のように話してくれた。「すべての備品は廃棄処分する予定だったのですが、もしかしたら“映画館の椅子がほしい”という方が、1人や2人くらいはいらっしゃるかもしれない…と思い、軽い気持ちで告知してみたんです。そうしたら、情報公開と同時に予約が殺到して。あっという間に完売したので、我々もびっくりしました。大事に使ってくださる方々が見つかり、メディアにも注目していただいて、たいへんありがたく思っております」。
また、こうした形で座席を販売することには、もう一つのねらいもあるそう。「ご自宅でも“当劇場の椅子”で映画を観ていただいて。そうしてますます映画を好きになってもらい、また劇場に足を運んでいただく…という流れができたらいいな、という想いもあります」とのことだった。
ちなみに、座席のスペックは以下の通り(規格:幅550mm×奥行き750mm×高さ1070mm ※座席を開いた状態で、カップホルダー分は除く/片側カップホルダー付き/重量:約25kg/価格:9999円)。
さらに購入に際しては、「池袋HUMAXシネマズにご来館いただき、ご自身で椅子の取り外しおよび搬出の手配、費用負担をしていただける方に限ります」や、「床に固定するため、お客様自身で設置を行う必要があります(自立式ではありません)」など、様々な注意事項が記載されていたが、参加者はいずれもそうした問題点をクリアーしていて、手際よく取り外し作業をこなし、椅子を運び出す姿が印象的だった。
そんな作業中の参加者たちに、「座席を購入した理由」や「どのように使われるのですか?」といった質問を投げかけたところ、以下のように答えてくれた。
「ちょうど戸建てを購入して、ホームシアターを作りたいなあと思っていた時に、こちらの“座席販売”の告知を見かけたんです。これはいいと思い、事前に下見もさせてもらって、一番気に入った座席を予約購入しました。リーズナブルな価格だったから…というのもありますが、“HUMAXシネマズさんの長い歴史が染み込んだ座席”であることも、映画好きにとっては惹かれるポイントでした」
「彼女から“こんな椅子があるんだけど”という連絡が来まして。サイトを確認したところ、購入当日の取り外しや搬出、家での設置まで、全部込みでやってほしい…という相談だと、すぐに把握しました(笑)。台座を固定するために、座席と同じ幅のアルミフレームを買ってきて、色味なども合わせながら取り付けて…と、持ち帰ってからもやることはいっぱいあるので、実際に座れるようになるのはもう少し先になりますね」
スクリーンの閉館は寂しいものの、「映画館の雰囲気が好き」というファンにとっては非常に魅力的な催しとなった、このたびのフリーマーケット。ちなみに池袋HUMAXシネマズ自体は、26日以降も全4スクリーン体制で営業しているので、池袋で買い物や食事を満喫した後は同劇場にも足を運び、最新の映画を楽しんでいってはいかがだろう。
取材・文/ソムタム田井