温泉はハレ、銭湯はケ…生田斗真と小山薫堂が『湯道』で感じた、人を繋ぐ“お風呂”の話 - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
温泉はハレ、銭湯はケ…生田斗真と小山薫堂が『湯道』で感じた、人を繋ぐ“お風呂”の話

インタビュー

温泉はハレ、銭湯はケ…生田斗真と小山薫堂が『湯道』で感じた、人を繋ぐ“お風呂”の話

「遊びから発想が生まれるって、それがやっぱり小山さんの核の部分だと思います」(生田)

――「まるきん温泉」で色んな人間ドラマが繰り広げられている一方、“湯道会館”で湯の作法を一つ一つ大真面目に学ぶ、バカバカしいお稽古場面との軽重のバランスが絶妙です。

小山薫堂の日常生活から生まれた「湯道」の作法にも注目!
小山薫堂の日常生活から生まれた「湯道」の作法にも注目![c]2023 映画「湯道」製作委員会

小山「決してバカバカしくはないんですよ!」

生田「アハハハ!いたって真面目ですよね(笑)」

小山「あれらの作法は僕が考えましたが、劇中に出てくる“衣描き”というのだけは、書きながら、どうやって撮るんだろうと思っていました(笑)。監督からも『挑戦状だと思った』と言われました。でも基本的な作法は、“湯道”として本当に作ったものです。湯の“縁止め”は僕がお風呂に入る時に、同じように遊んでいたことから生まれました。毎年お正月に家で初湯に入る時、お湯に体を沈めていくと、お湯が上がってくる。そして風呂の縁スレスレまで上がった時、そこにキラキラした朝陽が映るんです。それが鏡のようになって向こうが見える。それがおもしろくなってやっていた時、きっと湯道の家元は芸術的な表面張力を見せてくれるのだろう、という妄想が働きました」

生田「そういう遊びから発想が生まれるって、それがやっぱり小山さんの核の部分だと思います。そこをきちんと映画にして、こんなすごい大作を作り上げてしまった」

生き生きとした雰囲気に包まれていたという撮影現場
生き生きとした雰囲気に包まれていたという撮影現場[c]2023 映画「湯道」製作委員会


――最初、小山さんはミニシアター系の作品だとイメージされていたそうですが、こんなスケールになったのは、どういう経緯があるのでしょうか?

小山「風呂に入るだけの映画が、大きな作品になるとはそもそも思わないですよね(笑)。もっとマニアックな小品になると思っていましたが、脚本を最初に渡したプロデューサーが、なにを思ったのかフジテレビに持っていったところから歯車がくるい始めました。そこに、色々と大掛かりな作品を次々とヒットさせてきた方がいらして、“こんなマイナーな作品も当てられたら、俺ってカッコいいよね”と思われたそうで(笑)。“その時初めて俺は本物のプロデューサーなれる”という野望に翻弄され、ここまで大きくなったようです」

お風呂愛好家で、「湯道」の提唱者である小山薫堂
お風呂愛好家で、「湯道」の提唱者である小山薫堂撮影/島田香

――ちなみに生田さんは、湯道の家元のように、好きなことでマスターを目指したくなるなにかはありますか?

生田「うーん…レコードを聴くのがすごく好き。しかもメンテナンスをするのが大好きなんです。針を落としてずっとレコードをかけていると、針に少しずつ埃が溜まってくるんです。それを取るのがすごく気持ち良くて。針の埃取りの家元になりたいですね」

――それもいつか映画に!?

生田「いくらなんでも地味すぎますよ!(笑)」

小山「それを例のプロデューサーが当てたら、それこそ大したものですよね!(笑)」

お風呂エンタメ『湯道』は公開中
お風呂エンタメ『湯道』は公開中[c]2023 映画「湯道」製作委員会


取材・文/折田千鶴子

■衣装協力(生田斗真)
ジャケット:6万円(税抜)、パンツ:3万4000円(税抜)
semoh(セモー) 問い合わせ先:ビューローウエヤマ 03-6451-0705
そのほかスタイリスト私物
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