『BLUE GIANT』をレビュー!それぞれの心に燃える“青い炎”と、極上のジャズ体験
“漫画から音が聞こえてくる”と称される、原作漫画の演奏シーンを完全再現
そんな大たちの熱く、激しい青春に説得力を持たせているのは、聴き応えあるジャズ演奏の数々だ。JASSの初ステージにはじまり、クライマックスのライブに至るまで、しだいに存在感を増していくセッションは圧巻。その豊穣な音色にしびれ、全身全霊で繰り出されるソロのド迫力に高揚感は爆上がる。まるで本物のライブハウスにいるかのような没入感に翻弄されること請け合いだ。
本作の映画音楽を担当したのは、世界的ジャズピアニストである上原ひろみ。JASSのオリジナル楽曲の書き下ろしや劇中曲を手掛けているほか、雪祈のピアノ演奏も担当している。そしてアメリカを拠点に活躍する馬場智章が大のサックス、millennium paradeにも参加する石若駿が玉田のドラムに命を吹き込み、“漫画から音が聞こえてくる”と称される原作漫画の音楽シーンの完全再現に成功した。今回、原作コミックを初めて映像化するのにアニメーション映画を選択した理由には、「劇場の最大の音量、最大の音質で、本物のジャズを届けたい」という想いがあったという。
高い熱量が最初から最後まで持続する『BLUE GIANT』。ぜひ音響設備が整った劇場で、胸アツの人間ドラマと、極上のジャズ体験に酔いしれてほしい。
文/足立美由紀
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