サム・メンデス監督&『エンパイア・オブ・ライト』キャストに独占インタビュー「映画や詩が私たちの壊れた心を癒やしてくれる」
「見た目が美しい映画には、私たちが望むすべてがありますね」(サム・メンデス)
――では、メンデス監督にとって映画館で観る映画とは、どんな存在でしたか。
メンデス「自分も映画を作れるかもしれないと思った瞬間と、映画を観ることが大きな喜びになった瞬間は異なります。子どものころに『未知との遭遇』を観て、大きなスクリーンで映画を観る体験に魅了されました。ただ、そのころは自分が映画監督になるなんて想像もしていなくて、ただ、ポップコーンを食べながらたくさんの映画を観たいと思っているだけでした。ですが大学に入ってから、ダニエル・デイ・ルイスが主演したスティーヴン・フリアーズ監督の『マイ・ビューティフル・ランドレット』を観に行って、まるで映画が現実のことのように感じられました。映画で描かれている風景は身近で、親近感がありました。この映画に出てくる人たちは、私がなんらかの形で知っている人たちで、自分が暮らす世界で起きていることでした。19歳か20歳のころだったと思います。『もしかしたら、私も映画を作れるかもしれない』と突然可能性を感じたんです」
――ヒラリーは役のうえではあまり多くの映画を観ていない設定でしたが、もしも彼女に映画を薦めるとしたらどの作品を選びますか?
コールマン「そうですね…『カッコーの巣の上で』は薦めないでしょうね。もしも実際に彼女に会えたら、『ショーシャンクの空に』かな。みんながそう言うのはわかっているけれど。ああでも『ムーラン・ルージュ』、やっぱり『素晴らしき哉、人生!』にしましょう」
メンデス「『素晴らしき哉、人生!』は美しい映画ですから。人生への愛を表す映画だと思います。見た目が美しい映画には、私たちが望むすべてがありますね」
ウォード「人生(life)と言うんだったら…『エディ&マーティンの逃走人生』(※原題は『Life』)はいいですよ。もしもヒラリーを笑わせたいのだったら」
コールマン「それなら『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』で、笑いのある生活とはなにかと教えてあげたい。“笑い”でつながる人間関係とは?と」
ウォード「人生について深く考えるなら、『インターステラー』をお薦めしますね」
コールマン「わかった、『存在の耐えられない軽さ』はどうかしら?」
メンデス「こういう話は永遠にしていられるね(笑)」
取材・文/平井伊都子