人形劇からCG、2Dアニメへ!「きかんしゃトーマス」進化の40年史
そして2021年、トーマスと仲間たちの世界をより広げるために12年ぶりにフルリニューアル。装いも新たに、どこか懐かしいタッチの2Dアニメーションとして進化を遂げた。日本で「きかんしゃトーマス」シリーズの権利を管理しているソニー・クリエイティブプロダクツの関係者は「日本でテレビ放送がスタートして30年以上。親子で、また三世代がそれぞれの楽しみを見つけられるようなコンテンツを目指しています」と、「きかんしゃトーマス」の進化に期待を寄せる。
「すでに世界中の子どもたちに愛されている作品ですが、時代や文化的な背景も移り変わるなかで、物語をこれまで以上に多くの子どもたちに楽しんでいただけるようにという想いが込められています」と今回のリニューアルについて説明。「友だちや仲間たちそれぞれに個性があって、それぞれがすばらしいということを感じていただきたいです」と、多様性の時代を生きる現代の子どもたちへの想いを語った。
「ウィルバート・オードリー氏が原作絵本のなかで描いた友情とチームワークは普遍のテーマです。みんながヒーローになれるストーリー性が大きな魅力で、世界中からたくさんのキャラクターが登場することも魅力のひとつとなっています」。『映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ』では、ソドー島を一周するレース大会“ソドーカップ”が開催され世界中から強豪チームが集結。ブレーキが苦手なカナと速さに自信のないトーマスがソドー代表として出場することになり、チャンピオンを目指して猛特訓を始める物語が展開していく。
大人世代にとってはジオラマのセットの上で繰り広げられる人形劇のイメージが強い「きかんしゃトーマス」。3DCGアニメの時代にはリアリティが追求されてきたが、2Dアニメーションとなったことで、これまで以上にアニメーションならではの表現が可能になった。「新シリーズではくるくると変わる表情や、コミカルでアクロバティックな動きによって感情表現がとても豊かになりました。歌のシーンも多く、子どもたちが楽しめる要素がさらに増えています」。
2018年にはいち早く国連とコラボしてSDGsの精神が盛り込まれたり、環境問題の改善や多様性を尊重する社会への貢献、非認知能力の向上やSTEAM教育の活用といった教育分野での展開に力を入れるなど、時代に呼応するように変化を重ねてきた「きかんしゃトーマス」。「それらはこの物語に元々あるものを形にしたり言語化したものです。難しくなり過ぎず、“遊びは最大の学び”であることをこれからも伝えていきたいと考えています」。
そして「『きかんしゃトーマス』のストーリーには、大人になったからこそ沁みるメッセージやエピソードが数多くあります。お子さんと一緒に、大人ならではの視点であらためて楽しんで観ていただけるとうれしいです」。あらゆる世代に愛されてきた「きかんしゃトーマス」の新たな時代の幕開けを、映画館で目撃してほしい!
文/久保田 和馬