宮野真守「ヒーローは日常にいる!」DCユニバース「シャザム!」から学んだヒーローの在り方
「ヒーローに憧れている子どもたちに『夢は叶うぞ!』と伝えたい」
宮野が子どものころ憧れていたのは、絶対的な力で悪い敵を倒してくれるヒーローだったという。「シャザムのような半人前ヒーローは、理想としては思い浮かばなかったですね(笑)。テレビっ子で、子どものころから特撮やアニメのヒーローがものすごく好きでした。特に憧れていたのは『ドラゴンボール』だけど、ありがたいことに出演できちゃった!」と目を輝かせ語る宮野。「いま、ヒーローに憧れている子どもたちに『夢は叶うぞ!』と伝えたいです、経験談として(笑)」とニッコリ。
続けて「子どものころに憧れる存在だと思っていたけれど、大人になり演じる側になってから、よりヒーローのすごさを深く実感しています」と強調。「震災やコロナ禍で、自分の無力さを感じたことがたくさんありました。コロナ禍では不要不急とまで言われたエンタメの世界で自分はなにができるのか、迷い悩むこともありました。でも、ヒーローを演じて思ったのは、子どもたちにメッセージをまっすぐに伝えることのすばらしさ。『ヒーローってやっぱりすごい!』と思ったし、いろいろな作品に携わらせていただいたからこそ味わえていること、自分の置かれた環境に改めて感謝しました。しかも今回は半人前ヒーローを演じることで、また子どもの気持ちにも戻れたことも貴重な経験でした」。
「シャザムもスーパーパワーを持ったヒーローなのは間違いありません。だからといって憧れの対象で遠い存在ではなく、ヒーローは日常にいると実感させてくれた気がします。大切な人をどれだけ思えるのか、守るためにどれだけの力を注ぐことができるのか。ビリーが最後に示すことこそが『ヒーローって日常にいるんだな』と気づかせてくれます」と、ビリーからヒーローの在り方を教えてもらったと微笑む宮野。
思春期にビリーと同じような状況になったら、ヒーローに憧れていた宮野はどのような向き合い方をしていただろうか。「めちゃくちゃ自由にパワーを使っちゃうでしょうね(笑)。僕は本気で“かめはめ波”が出ると思ってましたから(笑)。ずーっと空を飛んでスーパーパワーを堪能するんじゃないかな。しばらくしてから『このままじゃダメ、やべー』って気づいて慌てる。現実は押し寄せてくるものだから、いつか気づかされると思うんですよね。でも最初はうれしくてパワーを使って飛んで飛んで飛びまくるはずです。あとで気づいて向き合うことができたら『シャザム!』という映画ができあがる。ということは、結局僕は『シャザム!』に行き着き、神々の怒りにたどり着く運命なのかも、なんてね(笑)」。
取材・文/タナカシノブ