宮野真守「ヒーローは日常にいる!」DCユニバース「シャザム!」から学んだヒーローの在り方
「吹替えと言ってもモノマネにはならない。僕がやったら、宮野らしさはやっぱり出ちゃう(笑)」
オリジナル版でシャザムを演じている、ザッカリー・リーヴァイについては「とにかくおもしろい!」と身を乗りだし話し始めた宮野。「僕の声優デビューは18歳の時。右も左もわからないまま吹替えでスタートした声優人生は、自分ができることをひたすら追い求めるものでした。最近は僕自身、積極的に実写や舞台の仕事をやらせていただいています。だからこそ、ザッカリーさんのパフォーマンスのすばらしさをより実感し、それを尊重したいという強い思いが芽生えました。どうしてそういう気持ちになったのか、どういう想いでその動きをやっているのかなど、彼がこだわって表現したものを、日本語になっても違和感のないようにちゃんと伝えたいという意味で、彼のお芝居をしっかり研究しました」と役へのアプローチを明かしてくれた。
経験を重ねるなかで、「オリジナルの演技を尊重したい」という思いが強くなっているそうだが、日本語吹替版を選ぶ観客は吹替版ならではの表現も楽しみにしているもの。“宮野らしさ”を期待して楽しみにしているファンも多いだろう。「宮野がやっている時点で、宮野らしさはやっぱり出ちゃいます、勝手に(笑)。吹替えと言ってもモノマネにはなりません。ザッカリーさんの芝居をどれだけ追求したところで、僕がやったら宮野っぽさは出ると思います。
結局、最終的には感情で言葉を紡いでいくしかないから、同調も共感もするけれど自分がシャザムとしてどういう言葉を吐けるのか、そこに向かって細かく追求していくアフレコでした」と振り返り、「畳みかけるように喋る、シャザムの早口はめちゃめちゃ大変だったけれど、そういう大変さも楽しかったりします。どうにか(セリフもおもしろさも)拾ってやろう、全部すくい上げようそんな気持ちでした(笑)。英語と日本語はまったく同じ口の動きにはできないのですが、ザッカリーさんが表現した感情を大事にしつつ、自分のなかに落とし込み、日本語だけど英語と違和感ないよう語尾を合わせるような言い方を意識しました」と、積み重ねてきた経験や身につけたスキルを駆使したアフレコだったようだ。
本作の大きな見どころとなるアクションシーンについては「特に印象に残っているのはバイオリンでの騙し打ちのシーン。シャザムの子どもらしさ全開の展開を楽しめます。強くもあり、柔軟さもあるヒーローの姿が見られます。神々までも騙されちゃう無邪気さは、大人が忘れてしまっているもの。まさかそんな行動に出るとは思わなかったです。あのシーンでのザッカリーさんの子どもっぽさたっぷりの笑い方は、観るのも演じるのも楽しかったところです」と宮野自身が演じるなかでも楽しさを感じたポイントと共に解説した。さらに、ビリーの決意にグッときたのは「悩みながらも自分で答えを導き出したから」と説明。「神々への対抗の仕方はすごくクレバーだし、きちんと伏線回収もしています。自分の犠牲も含めて、ビリーのまっすぐさにはグッとくるものがありました」と半人前ヒーローの成長にしみじみしていたようだ。