『花の詩女 ゴティックメード』トークショーに永野護監督&川村万梨阿が登壇!「全体的な音響の臨場感を、やれるところまでやった作品」

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『花の詩女 ゴティックメード』トークショーに永野護監督&川村万梨阿が登壇!「全体的な音響の臨場感を、やれるところまでやった作品」

開催中の第1回新潟国際アニメーション映画祭にて、『花の詩女 ゴティックメード』(12)の上映イベントが、3月19日に新潟市中央区の新潟市民プラザで行われ、永野護監督、ベリン役の川村万梨阿、本映画祭のフェスティバル・ディレクターで本作の製作総指揮を務めた井上伸一郎が登壇した。

『花の詩女 ゴティックメード』は、平和を祈る少女・ベリンと、生まれながらに戦う運命を背負う少年・トリハロンの旅を描いたSFファンタジー。昨年には公開10周年のリバイバル上映が行われるなど熱狂的な人気を誇っているが、映像や音響のこだわりからソフト化や配信はされていない作品。今回の上映に際してもチケットは即完売し、多くのファンが駆けつけた。

本作は、当初ナレーションだけの短編でスタートしたと永野監督は話す。「1人で作るとしたらどのぐらい必要みたいっていう話を幾原邦彦と相談したりして、コストを考えてナレーションしようってなりました」と企画がスタートした当時を述懐。その後、制作体制が決まった瞬間に「劇場にしよう」と決めたことを明かした。

『花の詩女 ゴティックメード』トークイベントに登壇した永野護監督と川村万梨阿
『花の詩女 ゴティックメード』トークイベントに登壇した永野護監督と川村万梨阿

ラストのある展開については、永野監督がスタッフやキャストに秘密としていたそうで、川村は「試写会いたキャストの人たちが、みんなラストにひっくり返っちゃっていました。特に大谷育江ちゃんは、『私のラブはどんなものになってしまったの。画面に入りきってないんだけど』って話していました」と、完成した作品を観た時の様子を語った。これに対して永野監督は、試写後に「いくちゃん、ごめん…」と伝えたそう。

永野監督の知識量にいつも感心していると語った井上
永野監督の知識量にいつも感心していると語った井上

井上は、「作品で描かれる新しい科学とか文化について、どこで勉強しているのか」と永野監督に質問。必要な情報を調べるのは昔から好きだったとのことで、「Wikiで読んだとかネットで見たものは自分の物になっていない。最低でも2~3年は自分のなかでこねくり回して、解釈や見方を出しているつもりです」と、作品の奥深さについての秘訣を語った。

今回の上映で注目して欲しい点について川村は、「ベリンが種をまくシーン」と回答。「このシーンをどうするか相談していた時に、曲が先に出来上がっていたので、曲を流しながら私がカゴを抱えて踊っているところを、原画の門上(洋子)さんにスケッチしてもらったんですよ。私は踊った時に手首を折るくせがあるんですけど、それが全部表現されていました」と制作秘話を話した。スマホなどで撮影したのでなくスケッチを行ったことに対して、永野監督は「脳内トレスコ」と評し、メインアニメーターが3人で構成された本作の作画のすばらしさについて語った。

音響へのこだわりを語った永野監督
音響へのこだわりを語った永野監督

また、永野監督は本作に対して、「僕の性格だとワンシーンでもみると、全カット作り直すとか言い始めるので、おすすめの箇所は営業トークじゃないと厳しいですね」と笑いつつ、「いままでの日本の映画やアニメーションであまり力を入れられてこなかった “音響”の部分。細かいところでなくて、全体的なその音響の臨場感っていうものを、やれるところまでやった作品です。いままで聞いたことがない音など、おもしろい音の体験ができる作品という評価をいただいていることがとても光栄です」と締めくくった。

満席のファンに笑顔で手を振った
満席のファンに笑顔で手を振った


第1回新潟国際アニメーション映画祭は、3月22日(水)まで開催。新潟市民プラザを中心に、クロスパル新潟、T・ジョイ新潟万代、シネウインドの4拠点を会場として、映画の上映や多種多様なイベントが予定されている。

取材・文/編集部

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