1978年、日本で『スター・ウォーズ』を撮った高校生がいた!映画愛が“刺さる”青春映画『Single8』を知っているか?
<コメント>
●犬童一心(映画監督)
「私も、78年の夏、初めての映画を作っていました。8ミリカメラを握りしめたときの熱い気持ち暑い夏を思い出し、もうどうして良いやら胸が張り裂けそうです。10代の終わり、二度と戻れない夏をフィルムに閉じ込めることができた幸福な野郎どもに心から拍手。8ミリカメラは強く握りしめることができたから祈りを込めて作れたんだな」
●河崎実(映画監督)
「学生時代8ミリ映画を同時期に作っていた同志である小中監督は、わたし同様40年以上同じことをやり続けている。お互いプロになって映画の規模は大きくなっても、この初期衝動の熱さはなにも変わらないのだ。改めてフィルムっていい、青春ていい。わたしも自伝的映画作りたくなったよ。だってフィルムがたくさんあるんだもん」
●黒沢清(映画監督)
「ああ、懐かしい。撮ってるときは何が写っているのかさっぱりわからないのが8ミリ自主映画だった。だから、出来上がった作品はいつも予想もしないものになる。あれがスタートだった」
●是枝裕和(映画監督)
「なんだかとても幸せな気持ちになりました。僕のように8ミリにはあまり触れてこなかった人間にとっても記憶のなかにあるはずのない映画作りを追体験していくような、不思議なワクワク感に満ちていました。そこに感じたのが単純なノスタルジーではなかったのは、小中さんのなかに自らの原点をもう一度確かめたいという強い前向きな動機があったからではないかと勝手に想像してうれしくなりました」
●手塚眞(ヴィジュアリスト/映画監督)
「シングル8は魔法のランプだった。それに触ればなんでもできると思っていた高校時代。学校は文字通り、映画作りの宇宙だった。映画研究部のあの狭く汚い部室で、後輩だった小中監督やヒロインたちと過ごしたあの日々。等身大の8ミリ少年たちの青春群像は、甘く酸っぱく、ちょっと照れ臭く、しかし現代の映画少年たちも同じような夢を持ってくれればいいと、この優しい映画が未来を繋いでくれることを期待します」
●樋口真嗣(映画監督)
「忘れていた匂い。
現像したフィルムの入った紙箱を開ける瞬間に溢れ出る——
中で緩まないようにリールに詰め込まれたウレタンのブロック——
電源を入れると沸き上がる、コンデンサに負荷がかかり材質が気化して、
ハロゲン球に積もった埃の焦げるような——。
波のようにどんどん押し寄せてくる匂いたちよ。
あの日々を生きていた何者でもなかった自分たち。
そんなもの作ったところで何か変わるなんて保証もなく、
それでも説明出来ない何かに突き動かされていたあの日々。
そいつは甘いけれど、とても苦い。
ちくしょう。還暦前なのに。
あの日々の思い出に浸れる甘美な幸せなんかまだ知りたくなかったのに」
※高石あかりの「高」は「はしごだか」が正式表記
文/久保田 和馬