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ブレンダン・フレイザーが『ザ・ホエール』で15年ぶりに来日で笑顔!アカデミー賞主演男優賞受賞は「いまだに驚き」

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ブレンダン・フレイザーが『ザ・ホエール』で15年ぶりに来日で笑顔!アカデミー賞主演男優賞受賞は「いまだに驚き」

ザ・ホエール』(4月7日公開)で本年度アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが、日本公開にあわせて15年ぶりに来日。4月6日に都内で開催された記者会見に出席し、久しぶりの来日に喜びの笑顔を見せた。

本作は、疎遠だった娘との絆を取り戻そうと切望する余命わずかな男チャーリーの最期の5日間が描かれるヒューマンドラマ。本年度アカデミー賞では主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞の2部門を受賞した。「ハムナプトラ」シリーズなどで人気を博したフレイザーが、今作では重度の肥満症で体重272キロの40代の教師を演じるため増量して壮絶な役作りに挑んでいる。

【写真を見る】昨日はしゃぶしゃぶを堪能!久々の日本を楽しんでいる様子のブレンダン・フレイザー
【写真を見る】昨日はしゃぶしゃぶを堪能!久々の日本を楽しんでいる様子のブレンダン・フレイザー

笑顔で手をふりながら登壇したフレイザー。『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)以来、15年ぶりの来日となったが「こういう形で日本に帰ってこられて本当に嬉しいです」と喜びを語り、昨日は街を見たり、しゃぶしゃぶも堪能したそう。日本公開は明日7日からとなるが、本作について「共感すること思いやり、愛、手に入れることは大変かもしれないけど希望を描いた作品。そして主人公の男性はダークな場所にいるが、光に向けて歩くことができる」とメッセージを訴える。

さっそく記者からの質疑応答に移り、改めてアカデミー賞主演男優賞受賞についての心境を問われると「いまだに自分であったということが驚き」だといい、「もちろんワクワクしましたが、あのような形でなにか大きなことを達成したグループの中に自分が招待されるとはまったく思っていなかったので、大変光栄でした。主演男優賞候補のみなさんは全員才能あふれる素晴らしい演技をされた方々で、私が受賞したがみなさんのオスカー像を分かち合ったような感じ」だと心境を明かした。

記者の質問ひとつひとつに丁寧に真摯に答える姿が印象的だったブレンダン・フレイザー
記者の質問ひとつひとつに丁寧に真摯に答える姿が印象的だったブレンダン・フレイザー

また本作のチャーリー役は、過去の共演作『ゴッド・アンド・モンスター』(98)のイアン・マッケランからも影響を受けているといい、当時から「役者の仕事は、演技をするとき、それがまるで初めて演技するかのように、そして最後の演技であるかのように臨まなければならない」という教えをもらっていたと明かし、「今作のような思慮深い作品を作っている時は特にそうだと思う。今日の映画づくりの状況の中で、本作のような作品は重要な作られるべき作品。スクリーンでかける可能性があるのならば、こういう物語を描いていかなければならない。人間のやり取り、人間関係、こういうものにしっかり目を据えて、なるべくリアルに正直に誠実に描いていくことが大事」だと真摯にじっくりと語る。

さらにイアンとはアカデミー賞の3週間前にロンドンで久しぶりに会ったそうで、仲の良い友人でもあるふたりはいろんな話をしたものの、本作の話だけはしなかったとか。しかし別れ際にイアンが「もう君はオスカーをとっている」と耳元で囁いたという貴重なエピソードも明かし、「なので金色の像が僕の元に来なかったとしても、自分にはオスカーが来たんだと思えていたと思います」と笑顔を見せた。

ダーレン・アロノフスキー監督との仕事は「とても光栄だった」とも語っていたブレンダン・フレイザー
ダーレン・アロノフスキー監督との仕事は「とても光栄だった」とも語っていたブレンダン・フレイザー

また、本作と向き合って見えた自分の本質についての質問が投げかけられると、「父の愛は常に勝つんだなと。3人の息子の父親でもあるので元々そういう意識を持っていたのですが、改めて今回感じた。だからこそチャーリーが自分の子どもとの関係性を妥協してしまっているということでどれだけつらい思いをしているか、本当にそれは計り知れないと思いました。やはり家族が一つでいることの大切さも書かれている」と本作について語る。

また本作はコロナ禍の厳しい時期での撮影となり、コロナ対策で距離感が少しある中で制作されたとも話し、「そういう意味では2019年〜2022年に作られた映画というのはとても特別な作品。なにか良いものを作ろうという努力がなされた映画だと思う。本作も皆さんを癒す、そういったとても良質な作品になっていると思いますし、関われたことをとても誇りに思っています」と明かす。さらに離婚して以来、音信不通だった17歳の娘エリーを演じた「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のマックス役でもお馴染みのセイディー・シンクについても「本当に素晴らしい役者さんだと思います」とコメントを残していた。

主人公のチャーリー役を演じるにあたって「大変なリサーチをした」とも明かしていたブレンダン・フレイザー
主人公のチャーリー役を演じるにあたって「大変なリサーチをした」とも明かしていたブレンダン・フレイザー

先日のアカデミー賞では、以前『ハムナプトラ3』で共演して共に来日し、友人でもある『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)のミシェル・ヨーとの受賞も話題になったが、ミシェルについては「才能あふれる素敵な、ものすごい勇気の持ち主。女性というカテゴリーに当てはめて、こういう役しかできないという業界に、立ち上がって立ち向かい、女性は甘んじるものではないのだと宣言することができるのがミシェル」だと讃え、「今回、意味深い形で再び再会することができました」と感慨深げ。さらに同じく『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンとも今回30年ぶりの再会となったが、アカデミー賞では『僕らまだここにいるね!』と話していたと笑顔で振り返った。

『ザ・ホエール』は4月7日(金)より全国公開
『ザ・ホエール』は4月7日(金)より全国公開

主人公が失ったものを取り戻していく物語が描かれる本作だが、最後にはこうした復活したいという人々へ向けてメッセージを問われると、「勇気を持ってほしいということを伝えたい。勇気を持つということは、自分の前に壁がそびえ立っているのを認識することでもある。ヒーローというのは、必ずしも盾を持ちヘルメットを被っているものではない。自分自身が、これは自分の道なんだとしっかり認識すること。勇気を持って必要なことをする。そうすると、自分の近づきたい場所に少しずつ近づいていけるのだと考えている。チャーリーはとても勇気のある人間だと感じていただきたい。人生においてのヒーローというのは、もっともそこからヒーローが生まれてくるとは思わなかったというところから生まれてくるものだと思う」とコメントに熱を込めた。

取材・文/富塚沙羅

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