15年ぶり来日のブレンダン・フレイザー、『ハムナプトラ』続編にも意欲!『ザ・ホエール』で奇跡の復活
映画『ザ・ホエール』で本年度アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが、日本公開にあわせて『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』以来15年ぶりに来日を果たした。4月7日には、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催された初日舞台挨拶に登壇。フレイザーが「コンバンハ、トーキョー。日本にまた来られて大変光栄に思っています。『ハムナプトラ3』の来日から15年ぶりになります。運がよければ、また1本(『ハムナプトラ』シリーズを)作れるかなと思っています」と挨拶すると、会場から万雷の拍手が送られた。
『レスラー』(08)や『ブラック・スワン』(10)などのダーレン・アロノフスキー監督の最新作となる本作は、離婚後に疎遠だった娘との絆を取り戻したいと願う、体重272キロの孤独な中年男性、チャーリーの最期の5日間を、ワン・シチュエーションの室内劇という様式で映しだす人間ドラマ。
ハリウッドのトップスターに昇りつめながらも、心身のバランスを崩して長らく表舞台から遠ざかっていたフレイザーだが、本作で渾身の演技を披露し、数々の映画賞を席巻。奇跡の復活を遂げた。この日は抽選で選ばれたファン、49名がオンラインでイベントに参加。その様子をスクリーン上に投影しながら、一般参加者からの質問をMCが代表してフレイザーに直撃した。
「『ハムナプトラ3』のプロモーションでは、ミシェル・ヨーさんと来日をされました。久しぶりの来日で行ってみたいところはありますか?」と聞かれたフレイザーは、「桜はちょっと散ってしまって、悲しい想いでいるんですが、少し見られたのでうれしいです。とても美しかった。ミシェル・ヨーはとてもいい友人なんですが、彼女も同じくらい美しい方ですよね」とにっこり。「彼女が受賞したことは、業界の躍進にもつながると思っている。見守れたことがとてもうれしい」と『ハムナプトラ3』で共演し、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で本年度アカデミー賞主演女優賞を獲得したミシェル・ヨーへの想いを語った。
体重272キロの主人公を演じるためには、40日におよぶ撮影期間中、フレイザーのメーキャップには毎日4時間を要し、45キロのファットスーツは5人がかりで着脱したという。「特殊メイクでの撮影で印象的だったことは?」との質問には、「もともと特殊メイクの過程に興味があった」と明かしたフレイザー。「担当してくれた、才能ある特殊メイクアーティストのエイドリアン・モロットさんも今回、オスカーを受賞しました」とモロットの仕事を称えつつ、さらに「重力や物理の法則に則った形で、表現した」とこだわりを吐露。「僕がそうであったように、皆さんもチャーリーと出会ってすぐに、彼のことをとても好きになると思います」と呼びかけていた。
またチャーリーを取り巻く人々を演じた共演者陣は「秘密の材料」だと、彼らに敬意を表する場面もあった。撮影に入る前に3週間のリハーサルが設けられ、俳優陣はその期間にお互いのことを知っていったという。
フレイザーは「コロナ禍の撮影で、お互いを思いやりながら撮影をしていた。そういった人との人との関係性がスクリーンから届くような作品になったと思う」とお互いを思いやる心が、本作を特別な映画にしたと分析。チャーリーの世話をするリズ役のホン・チャウについては、「リハーサルの数週間前にお子さんを出産したばかりだった」と裏話も飛びだした。
さらに娘のエリーを演じたセイディー・シンクの才能も大絶賛で、フレイザーは「セイディーは、ワオ!だよ。すばらしい才能の持ち主。32年のキャリアを持つ僕から見ても、驚異的でした」と目尻をさげる。シンクはNetflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のマックス役でも知られるが、フレイザーは「『ストレンジャー・シングス』を観た人はいますか?」と会場に語りかけながら、「最後のほうに怖いモンスターが出てきますよね。セイディーは『ザ・ホエール』の撮影を終えてから、モンスターとの対決のシーンを撮ったんです」と教えていた。
「ハムナプトラ」シリーズのファンだという質問者から「またアクション映画に出演することはありますか?」と聞かれると、「アカデミー賞をいただいたので、(「ハムナプトラ」シリーズ製作の)ユニバーサルの方々が、また僕をキャスティングしてくれることを祈ってください」とお茶目に微笑んだフレイザー。イベントではたくさんの拍手を浴び、「ファンの方々を心から愛しています。こういう仕事をできるのも、特別なチャンスを与えられるのも、皆さんのおかげ。大好きです」と感謝をにじませていた。
取材・文/成田おり枝