庵野秀明監督「次回作は白紙」もタイトルは確定?『シン・仮面ライダー』舞台挨拶でファンに感謝
映画『シン・仮面ライダー』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶が9日、丸の内TOEIにて開催され、池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、森山未來、庵野秀明監督が登壇した。
石ノ森章太郎原作の「仮面ライダー」は1971年にテレビシリーズの放送がスタート。庵野がメガホンをとった本作では、半世紀以上にわたり愛されてきたシリーズの初代「仮面ライダー」をベースにしたオリジナルストーリーが展開する。
この日のイベントでMCを務めた庵野監督は撮影を振り返り、「現場は本当に大変でした」としみじみ。会場を見渡しながら「僕の場合、毎回なにかを作るといろいろと言われしまって、正直それもつらいです。でも、今日は直接お礼を言うことができ、良い感想もいただけて本当によかったです。僕個人として心が救われました。本当にありがとうございます」と心からの感謝を伝えていた。
オープニングへの思い入れはかなり強かったようで、「撮ってラッシュを観て、撮り直すの繰り返し。リテイクが一番多いシーンでした。池松くんのスケジュールがある限り、リテイクしていました」と明かした庵野監督。「(リテイクの)数は言えないです」と苦笑いの池松だが、出来上がった映像は「アレンジがすごい。オリジナルの残し方とアップデートの仕方がかっこいい」と大絶賛。
柄本がオープニングの音楽が流れるだけで「高揚感がある」と語り、森山がバイクの音を聞くと「あっ!と思うと同時に(うれしくて)笑えてくる」と懐かしさを感じるポイントを指摘。「ほかの音を入れようとしてもオリジナルには勝てない。60過ぎの大人が作っているので仕方ない」と音の演出を説明する庵野監督に「オリジナルに対するリスペクト、プラス新しいものを感じました」と感想を伝える森山。「どれだけ残してどれだけ削るか。近すぎても離れすぎても面白くない。混ぜ方のバランスには苦労しました」と制作の苦労を語る庵野監督に、会場からは惜しみない拍手が贈られた。
本作の続編や庵野監督の次回作が気になるというキャストの声に「次回作は決まっていません。30年ぶりに白紙です。ずっと働きすぎたので休みたいです」と答えた庵野監督だったが、「企画の時点で構想は作っています。最初から続編が可能なものにしています。現実的には白紙だけど、構想としては残っています。東映さんから『やってくれ』と言われたら(続編は)あります」と続編の可能性に触れる。
さらに続編はタイトルまで決まっているとし「『シン・仮面ライダー 仮面之世界』と書いて『マスカーワールド』と読みます。石ノ森先生の原作を読んでいる人は、ピンとくるはず」とし「日本政府がSHOCKERの人工知能を開発して、政治家と官僚がSHOCKERに入って…」とまさかのプロットも公開。「そんなに詳しく言っていいの?」とキャスト陣が慌てる横で「お金が足りないので、再生怪人でなんとかしようかな(笑)」と付け加えた庵野監督に一同大爆笑。「どうなるかわからないけれど、構想はあります」と庵野監督が微笑むと、会場はファンによる期待の込もった大きな拍手に包まれた。
取材・文/タナカシノブ