イ・ジョンジェ、シム・ウンギョンら人気俳優の10年前の出演作は"じわる"おもしろさに満ちていた…日本未公開韓国映画を深堀り!

インタビュー

イ・ジョンジェ、シム・ウンギョンら人気俳優の10年前の出演作は"じわる"おもしろさに満ちていた…日本未公開韓国映画を深堀り!

韓国初のラジオドラマはドタバタ続き!『ラヂオの時代』

2作目は2008年に公開された『ラヂオの時代』。『容疑者X 天才数学者のアリバイ』(12)や『ベルリンファイル』(13)のリュ・スンボムが主演し、1930年の日本統治下の韓国での朝鮮語ラジオ放送局を舞台に、韓国初のラジオドラマの生放送に奮闘する人々の騒動を描きだす。ノスタルジックな雰囲気漂うドタバタの展開が笑いを誘うコメディだ。

韓国初のラジオドラマを生放送に奮闘する人々の騒動を描きだす『ラヂオの時代』
韓国初のラジオドラマを生放送に奮闘する人々の騒動を描きだす『ラヂオの時代』(C) 2008 SIDUS FNH,All Rights Reserved.

鳥居「今回の5本のうち、この作品だけが原題タイトルではないんですよね?」

飯森「この作品の原題は『ラジオ・デイズ』なんですが、そのままだとウディ・アレンの同名映画があるので、ウェブの検索で引っ掛からなくなる。SEO対策であえて『ラヂオの時代』にしました。英和直訳しただけですけど。実は、韓国でも“(同じタイトルで)やらかした!”と思ったんでしょうかね。公開初期は『Radio Days』という表記だったのが、いつのまにか『Radio Dayz』って、“z”がラッパーみたいな表記に変わっていて(笑)。1930年代の話なのに。でも、この作品は完全にノーマークだったんですが、今回の5本の中で一番好きでした。おもしろくてびっくりしましたよ」

鳥居「私もそうです。でも、日本統治下の時代背景から、日本での公開に躊躇したのかな、とは思いました」

飯森「どうなんでしょうね。最近では『暗殺』(15)とか『ハンサン ―龍の出現―』(22)もやっていますけど…。でも、もしそれが理由で公開されなかったんだとしたら、非常にもったいなかったですね。めちゃくちゃよかったし、日本人がすごく観やすい作品なのに。日本人が残酷なことをする内容だとつらいけど、この作品はそういう要素がないじゃないですか。常にユーモアと明るさを維持したままラストまでいくので、娯楽作として本当によくできている。これも多くの方に観てもらいたいです」

『容疑者X 天才数学者のアリバイ』(12)や『ベルリンファイル』(13)のリュ・スンボムが主演(『ラヂオの時代』)
『容疑者X 天才数学者のアリバイ』(12)や『ベルリンファイル』(13)のリュ・スンボムが主演(『ラヂオの時代』)(C) 2008 SIDUS FNH,All Rights Reserved.


鄭「主演のリュ・スンボムもよかったですよね。最近はどうしているのかわからないですけど…」

鳥居「このあいだ新しい事務所と契約して、今年からは精力的に動くみたいなので、また期待できそうですよ。ほかにも、『エクストリーム・ジョブ』(12)や『サイコだけど大丈夫』のオ・ジョンセとか、『イルタ・スキャンダル』のファン・ボラとか、いまでは日本で有名になった俳優さんが大挙していますね」

飯森「芸達者たちの競演です。おもしろい映画、時間の無駄にならない映画を紹介してくれ、と言われたら、この作品と先ほどの『殴打誘発者たち』を挙げますね。今回の特集の5本という枠をとっぱらっても、絶対間違いなくおもしろいと保証できる作品です。ビッグバンドの演奏をバックにタップダンスを踊るエンドロールも圧巻なので、最後まで楽しんでいただきたいです」

「イカゲーム」のイ・ジョンジェ主演の豪華アクション時代劇『1724 妓房乱動事件』

3作目は「イカゲーム」のイ・ジョンジェと『悪女/AKUJO』(17)のキム・オクビンを主演に迎えた、2008年公開の『1724 妓房(読み:きばん)乱動事件』。「韓国ヤクザの組織間抗争が朝鮮王朝時代にもあったら?」というテーマで、アメコミテイストの映像など斬新な演出で魅せるアクション娯楽時代劇だ。監督のヨ・ギュドンによると、「朝鮮時代に路地裏で起きていたような争いを、やや誇張とウソを交えて描いた作品」だという。

「イカゲーム」のイ・ジョンジェと『悪女/AKUJO』(17)のキム・オクビンを主演に迎えた『1724 妓房乱動事件』
「イカゲーム」のイ・ジョンジェと『悪女/AKUJO』(17)のキム・オクビンを主演に迎えた『1724 妓房乱動事件』(C)2008 SIDUS FNH,All Rights Reserved.

飯森「この作品を選んだのは、『イ・ジョンジェだ!』ってことで(笑)。まぁチャウ・シンチー作品みたいな映画です」

鳥居「時代劇なのにアメコミ要素を入れてきて、製作側の『斬新なことをやってみました』という意図をものすごく感じました(笑)」

飯森「これが公開された2008年は、『インクレディブル・ハルク』や『アイアンマン』が公開された時で、“ちょうどいまからアメコミがナウなヤングにウケる!”と思って流行を先取りしたんですかね(笑)」

鄭「それと、時代劇なのに、公開当時の韓国の流行語や、ドラマやCMのセリフが使われているんですよ。その違和感のおもしろさが日本の観客にはなかなか伝わりにくいのが残念だな、と思いました」

鳥居「公開当時、イ・ジョンジェが『脚本を読んで、こんなにおもしろい作品は逃してはいけない、と思って出演を決めた』ってインタビューで言っていました」

監督のヨ・ギュドンは「朝鮮時代に路地裏で起きていたような争いを、やや誇張とウソを交えて描いた作品」だと語る(『1724 妓房乱動事件』)
監督のヨ・ギュドンは「朝鮮時代に路地裏で起きていたような争いを、やや誇張とウソを交えて描いた作品」だと語る(『1724 妓房乱動事件』)(C)2008 SIDUS FNH,All Rights Reserved.

飯森「なるほど…(笑)。時代劇や妓生ものが好きな人も楽しめる、かなり豪華なコメディです。時代劇としてすごく金がかかっているな、と思いました」

鄭「衣装をアンドレ・キムという韓国の超有名なデザイナーが担当しているんですよ」

鳥居「だからあんなに豪華絢爛なんですね。とにかく、妓生のキム・オクビンの美しさとイ・ジョンジェのかっこよさを堪能できる作品でした」

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