イ・ジョンジェ、シム・ウンギョンら人気俳優の10年前の出演作は"じわる"おもしろさに満ちていた…日本未公開韓国映画を深堀り!

インタビュー

イ・ジョンジェ、シム・ウンギョンら人気俳優の10年前の出演作は"じわる"おもしろさに満ちていた…日本未公開韓国映画を深堀り!

連続30問正解すれば133億ウォン。賞金を狙って知識のない人々が知恵を絞る『クイズ王』

4作目は、2010年に公開された『クイズ王』。放送開始以来、一度も優勝者が出ていないクイズショーの優勝賞金はなんと133億ウォン(約13億2,600万円、4月27日現在)。ある事故にかかわった人々が、このクイズショーの最後の問題の正解だけを知ることになり、賞金獲得を夢見て無謀にも番組に参戦するという群像コメディ。キム・スロ、ハン・ジェソク、リュ・スンリョン、シム・ウンギョンなど、豪華出演陣で話題となった作品でもある。

韓国のホリデームービーで、家族揃って楽しめる『クイズ王』
韓国のホリデームービーで、家族揃って楽しめる『クイズ王』(C)2010 Cinemaservice,All Rights Reserved.

飯森「これは、韓国のホリデームービーで、家族揃って楽しめる作品です。これこそ、スター大集合の豪華キャスト作品ですよね」

鄭「監督のチャン・ジンは、映画ファンから『チャン・ジン作品ならおもしろいだろう』と信頼されている人で、これも期待を裏切らなかったです。彼が気に入っている、“チャン・ジンファミリー”的な俳優が大集結していますね」

飯森「最後の1問の答えだけはわかったけど、そこに至るまで29問のクイズに正解しなきゃならないというほぼ無理な状況なのに、優勝賞金の大金にみんな色めき立つんですよね。冷静に考えたら、29問連続正解なんてできない、って心が折れると思うんですけど(笑)」

鳥居「過去に失敗したクイズのシーンで、巨人の原辰徳監督(当時)や映画の『Love Letter』(95)に関する問題が出てきて、日本ネタが使われているのが意外でした」

飯森「日本で公開してほしかったのかな?公開当時の2010年の日本は、韓国映画を結構なんでも配給していた時代なんですけど、なぜこれはやらなかったのか…」

日本で大活躍中のシム・ウンギョンが女子高生役で出演している(『クイズ王』)
日本で大活躍中のシム・ウンギョンが女子高生役で出演している(『クイズ王』)(C)2010 Cinemaservice,All Rights Reserved.

鳥居「ひとつ考えられるのは、当時だとキャストに引きがなかった、とか?」

飯森「いまとなっては、すごく豪華なんですけどね…。あと、字幕の問題かも。クイズの問題って専門的だったりするので、字数が限られた字幕では説明が非常に難しいんですよ。これは、今回もとても苦労しました。そんな難しさもあったかもしれないですね」

鳥居「韓国ドラマでおなじみの俳優が次々に出てくるので、『この人が!あの人も!』と楽しみながら観てほしいですね」

カノジョが死んだあとに生まれた奇妙な三角関係…。『幻想の中の君』

最後は、アカデミー賞でも話題となった『ミナリ』(20)で母親役を演じたハン・イェリが主演する、2013年公開の『幻想の中の君』。男性1人、女性2人の三角関係。男性の彼女だった女性が事故死してしまい、あることをきっかけに、遺された2人に彼女が見えるようになり、奇妙な三角関係になっていく…。映像が美しいせつなく不思議なラブストーリーだ。

『ミナリ』(20)で今や国際的女優となったハン・イェリ(『幻想の中の君』)
『ミナリ』(20)で今や国際的女優となったハン・イェリ(『幻想の中の君』)(C)2013 Kraken,All rights reserved.


飯森「この作品に出ているイ・ヨンジンが『少女たちの遺言』(99)というホラー映画(韓国の原題は『女高怪談2』)以来好きで、彼女の主演作は全部観たいと思っていたんで、今回観られてよかったです」

鳥居「イ・ヒジュンが演じた男性が、女性視点だと本当に“悪い男”だと思いました」

鄭「鳥居さんと2人で『あいつ、最低!』って、ずっと悪口言っていました(笑)」

鳥居「彼女が死んで1年は経っているけど、寂しさにまかせて彼女の友だちと寝ちゃうのがまずないし、行為中もその女性に対する思いやりもまったくない。挙句の果てには勢いまかせにしてしまったのを謝り倒す、という…。女性としては一番傷つくパターンですよ」

鄭「最後の最後までクソ男です(笑)」

映像が美しい、せつなく不思議なラブストーリー(『幻想の中の君』)
映像が美しい、せつなく不思議なラブストーリー(『幻想の中の君』)(C)2013 Kraken,All rights reserved.

飯森「男性の僕は思いもしなかった視点ですね!まあ言われれば、そういう受け止め方もあるのかも。僕は、クソ野郎というより彼は心がどんどん壊れていっているんだな、と、同情ではないですが、そんなふうに受け止めました。あと、映像がひたすら綺麗だという点と、水族館とイルカはどういう意味があるんだろう…と考えるほうに気持ちがいってたかな」

鳥居「ハン・イェリは結局、幽霊なのか幻想なのか…」

鄭「そのよくわからないぼんやりしている点も、この映画の魅力だと思います」

飯森「不思議な作品ですよね。観終わってから『あのシーンは…』って、話し合えたりもしますしね」

鳥居「では最後に。今回の5本中、飯森さんが1本だけ選ぶなら?」

飯森「うーん…。2本、『殴打誘発者たち』と『ラヂオの時代』ですね。“意外なめっけモノ”ではなく“マスターピース”と言っても過言ではないこの2本が、ちゃんとした形で輸入されなかったのは、本当に大損害だと思っていて、今回皆さんに観ていただく機会があってよかったです。個人的には、第1弾の5本を含めてもこの2本がトップ2です。もちろん、ほかの3本が『これが一番よかった』という方も居るはずで。“どんな映画でも必ず観たい人がいる”と僕は思っているので、まず自分で観ていいと感じた作品だけお届けする、ということは僕はしていないです。明らかに人気が出そうだな、とか視聴率が稼げそうだな、という観点で選ぶのは、つまらないですよ」

文・構成/鳥居美保

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