K-POP女王BoAの主演作から「イカゲーム」俳優のコメディまで…日本未公開韓国映画発掘の秘訣を探る!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
K-POP女王BoAの主演作から「イカゲーム」俳優のコメディまで…日本未公開韓国映画発掘の秘訣を探る!

インタビュー

K-POP女王BoAの主演作から「イカゲーム」俳優のコメディまで…日本未公開韓国映画発掘の秘訣を探る!

日本初上陸の最新海外ドラマと厳選作品が観られる動画配信サービス「スターチャンネルEX」。最新コンテンツ、さらには懐かしの日本語吹替版なども発信してきたことでおなじみだが、このたび、新たなチャレンジ企画としてスタートするのが、日本で劇場未公開なだけでなく、ソフト化も配信もされていない作品ばかりを集めた「マストで観るべき本邦初公開韓国映画」だ。20年以上韓国映画を観続けてきた目利きの担当者が、現地から直接買いつけた選りすぐりの5本を独占放送&配信する。今回、こちらの特集で取り扱う文字どおりの”スターチャンネルでしか観られない”作品の魅力を、担当プロデューサー 、飯森盛良と韓国映画に詳しい映画ライター、佐藤結が語り尽くす。

『秋の郵便局』をはじめ、本邦初公開の作品を筆頭に、韓国映画の魅力を徹底討論!
『秋の郵便局』をはじめ、本邦初公開の作品を筆頭に、韓国映画の魅力を徹底討論![c]2015. SYCOMAD all rights reserved.

「試しに全部用意してみようということで、タイプの異なる5作品を選んだ」(飯森)

佐藤結(以下、佐藤)「『韓国でこんな映画が作られているのか!』と多くの人を驚かせた『シュリ』が2000年に日本で公開されてから20年余りが過ぎ、日本で観られる韓国映画は本当に多くなりましたが、本特集の資料を拝見して、韓国で1年に制作されている作品、例えば2021年の2354本のうち、旧作も含めて809本しか海外に出ていないということを改めて知りました。ということは、ものすごい数の“本邦初公開”映画があるということにもなるのですが、今回の5本に絞るのは大変だったのではないですか?」

韓国コンテンツに精通した映画ライターの佐藤結
韓国コンテンツに精通した映画ライターの佐藤結

飯森盛良(以下、飯森)「韓国映画は、スターチャンネルの放送、配信のどちらでも人気があるので、これまでも私が注力してきた分野です。ただ、今回は『日本に入っていないものをやりたい』ということで、韓国側のパートナーから膨大な作品リストをもらうことから始めました」

「マストで観るべき本邦初公開韓国映画」を企画したプロデューサーの飯森盛良
「マストで観るべき本邦初公開韓国映画」を企画したプロデューサーの飯森盛良

佐藤「そのなかから、どんな基準を決めて選ばれたのですか?」

飯森「日本で視聴率や再生回数が稼げそうなジャンルに偏ってしまうと、はっきり言っておもしろい特集にならない。ですから、試しに全部用意してみようということで、タイプの異なる5作品を選びました。そのなかで、視聴者がどんな作品を好むのか、私も楽しみです」

『秋の郵便局』BoAが主演する、“日本感性”漂う異色のラブストーリー

佐藤「さっそく、1本ずつお話していきましょう。まずは、2000年代初期の第1次韓流ブームから、日本でもおなじみの歌手だったBoA主演の『秋の郵便局』です。田園風景が残る地方の小さな村の郵便局員である主人公と遠い親戚でもある年下男性との恋が、彼女にまつわるある秘密と共に描かれていきます」

BoA演じるDIYが趣味の夢見がちアラサー女子、スリョン(『秋の郵便局』)
BoA演じるDIYが趣味の夢見がちアラサー女子、スリョン(『秋の郵便局』)[c]2015. SYCOMAD all rights reserved.

飯森「この映画を選んだ理由は、ずばりBoAです。彼女は日本でも活躍してきたK-POPシンガーということで、映画俳優と比べても圧倒的に高い知名度があります。そういった意味では、この作品が今回の特集のなかでも勝負作と言えます」

佐藤「物語としては、30代女性と年下男性のラブコメなのかな?と思いきや、思わぬ方向に展開していきますね。(本作を手掛けた)イム・ワンテ監督のコメントを読んだのですが、ゆったりとしたテンポの日本映画が好きなようで、そういった作品の影響も感じられますね」

美しい田舎町を舞台に、郵便局員の女性と遠い親戚である年下男子とのマッタリした恋が描かれる(『秋の郵便局』)
美しい田舎町を舞台に、郵便局員の女性と遠い親戚である年下男子とのマッタリした恋が描かれる(『秋の郵便局』)[c]2015. SYCOMAD all rights reserved.

飯森「そのような感覚を“日本感性”と韓国では呼んでいるようです。岩井俊二監督の作品なんかも人気なんですよ。この映画の内容については、先に私からなにかを説明するというよりも、解決されず終いの謎が結構あり、観終わった人といろいろ話したくなるタイプの作品です。観た人同士で、『あれはこういう意味なのでは?』『謎は解けなかったけど、BoAはかわいかったね』など、いろいろ話してみてほしいですね」

オ・グァンロクの父親役も印象的(『秋の郵便局』)
オ・グァンロクの父親役も印象的(『秋の郵便局』)[c]2015. SYCOMAD all rights reserved.


佐藤「地方の小さな村だけに、血縁関係が強く残っているという設定もおもしろいです。私はオ・グァンロクの声が好きなのですが、彼が扮する父親の存在も印象的でした」

飯森「グァンロクの紳士的で穏やかな声はすてきですよね。ただ、それだけに悪役を演じた作品ではあまり悪く見えないという(笑)。ものすごく遠い親戚であっても結婚はタブーというのが前提になる作品なのですが、現在のソウルではそういうこともないようで、そのために舞台を時間が止まってるかのような田舎にしたと考えられます」

佐藤「ある種のファンタジー的な要素もあったんですね」

『花の手』地方の海街を舞台に、若者たちと地元老人たちの心温まる交流が描かれた心に響く小品

佐藤「さて、次の『花の手』も地方を舞台にしたヒューマンドラマです」

亡き祖母の散骨のため、彼女の故郷を訪れた若者たちと、地元老人たちの心温まる交流が描かれる(『花の手』)
亡き祖母の散骨のため、彼女の故郷を訪れた若者たちと、地元老人たちの心温まる交流が描かれる(『花の手』)[c]2018. SYCOMAD all rights reserved.

飯森「田舎の鄙びた感じをいい雰囲気で描いているところは共通しています。中国に移住して、そこで亡くなった女性の孫が、散骨のため韓国の南部にある町、南海(ナメ)を訪ねてくるところから始まります。そこで、おばあさんの友人だった女性と出会い、半ば強引に村のコミュニティに引き入れられていきます。彼の友人らも交えて、若者たちとお年寄りたちの温かい交流がスローなペースで描かれていく小品です」

佐藤「主人公が出会う女性役のソン・スクをはじめ、高齢チームは映画やドラマでおなじみのベテラン俳優がそろっていますが、主演のキム・イアンら、若者たちはフレッシュな顔ぶれで、役の設定ともよく合っていますね」

写真を手がかりに祖母の生まれた家を探していると、地元の老人に次々とつかまってしまう(『花の手』)
写真を手がかりに祖母の生まれた家を探していると、地元の老人に次々とつかまってしまう(『花の手』)[c]2018. SYCOMAD all rights reserved.

飯森「若い世代と高齢者世代が映画を介して交流していくソウル老人映画祭で上映されたというだけあって、映画祭で出会いそうな良質のインディーズ作品です。こういうタイプの映画は、配給ラインになかなか乗らない。近年、日本で注目されているバイオレンスな韓国映画大作もいいですが、こうした味わい深い小品も1本は入れたかった。同じように、とてもいい内容なのに、日本に入ってきていないという作品はまだまだあります。映画祭に行って、『こんな映画があるのか!』と思いがけず心に響く小品に出会うような体験を、視聴者にスターチャンネルでしてほしいと思いました。韓国映画にはこんな魅力もあるのかと気づいていただけるのではないでしょうか」

佐藤「私のように、韓国の地方都市の風景が大好きな視聴者にもうれしい2本だと思いました」

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