『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』でめぐる、フランスと日本の名所。凱旋門から日本の歴史的建造物まで
荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれたスピンオフ作品を高橋一生主演で実写ドラマ化し、原作ファンから大絶賛を集めた「岸辺露伴は動かない」。その制作チームが再集結を果たし、岸辺露伴に降りかかる最大の事件を描く『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が5月26日(金)より公開される。本作には“もう一つの主役”と呼ぶにふさわしいルーヴル美術館をはじめ、日本&フランスの名所が続々と登場。その一部を、美しい場面写真と共に紹介していこう。
相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むことができる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家の岸辺露伴が奇怪な事件に立ち向かう姿を描いた本作。新作執筆の過程で、かつて淡い想いを抱いた女性から聞かされた“最も黒い絵”がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴。フランスを訪れるも、不思議なことに美術館の職員ですらその絵の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、もう使われていない地下倉庫だった。そこで露伴は、“黒い絵”が引き起こす恐ろしい出来事に対峙することとなる。
まずはタイトルにもあるように、“岸辺露伴最大の事件”の舞台となるルーヴル美術館。言わずと知れた世界最大級の美術館であり、本作では日本映画としては2作目となる大規模撮影を敢行。元々ルーヴル美術館の共同企画として描き下ろされた人気エピソードが原作という縁もあり、異例の撮影許可が下りた。高橋演じる露伴がルーヴルの前に降り立つカットや、かの有名なモナ・リザと対峙する瞬間などが予告映像ですでに解禁されている。本編では、それ以外にもなかなかお目にかかれない貴重な光景を目の当たりにすることだろう。
また、パリ市街地の観光名所は他にも。エトワール凱旋門やそこから伸びるシャンゼリゼ通り、河岸全体が世界遺産となっているセーヌ川に、“愛の南京錠”で知られるパリ初の鉄製の橋梁ポン・デ・ザール(芸術橋)や、パリでもっとも美しい鉄橋との呼び声も高いアレクサンドル3世橋。さらにセーヌ川の中洲にあるサン・ルイ島のカフェ・ルテシアでは、露伴と京香がルーヴルでの奇妙な出来事について語り合う。日本を飛びだし、世界屈指の美しき街パリの魅力が存分に活かされたロケーションはどれも必見だ。
一方、日本国内のロケ地も趣深く格式高い歴史的建造物ばかり。物語のカギとなる“最も黒い絵”を求めて露伴と京香が美術品オークションに参加するという映画オリジナルのシーンは、横浜のホテルニューグランドで撮影。昭和初期に開業し、古くはアメリカ陸軍のマッカーサー元帥や喜劇王チャーリー・チャップリン、さらにベーブ・ルースなど錚々たる来賓客を迎えた歴史があるクラシカルなホテルは、絵画の世界をそのまま切り取ったような荘厳なロビーが見どころ。普段よりも一段上の正装をまとった露伴と京香の衣装にも注目。
また、漫画家デビューしたばかりの若き露伴(長尾謙杜)が夏休みの間に滞在する祖母の屋敷は、江戸時代の中期から存在したといわれ、国の登録文化財制度第一号に登録された会津若松の旅館「向瀧」が、渡辺一貴監督たっての希望で撮影に使用された。まるでタイムスリップしたかのような時間が流れるこの場所は、青年期の回想シーンにうってつけ。青々とした緑や夏の美しい情景、そして妖艶な雰囲気を漂わせるミステリアスな女性、奈々瀬(木村文乃)との出会い。幻想的なムードが本作の魅力をより一層高めていく。
昨年の秋から開始された撮影は、断続的に約半年にわたり日本とフランスで行われた。お馴染みの岸辺露伴邸から日本国内、そしてパリ市街地へとめぐっていき、3月某日の気温1度という凍てつく寒さのなかルーヴル美術館でクランクアップ。日仏のスタッフの思いが結集し実現した、世界を股にかけた唯一無二の“岸辺露伴ワールド”。観ているだけで心ときめくこと間違いなしのロケ地にも注目しながら、美しくも切ない珠玉のサスペンスをじっくりと堪能してほしい。
文/久保田 和馬