ネタバレなしで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」最新作をレビュー!パンパンに膨らみきった期待にたがわぬ傑作だ

コラム

ネタバレなしで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」最新作をレビュー!パンパンに膨らみきった期待にたがわぬ傑作だ

世界は“不完全”なものという現実を受け入れていることが、ガーディアンズの強み

毒舌アライグマ、ロケットを巡る物語が本作のテーマとなる!
毒舌アライグマ、ロケットを巡る物語が本作のテーマとなる![c] 2023 Marvel

肝心なのは“完璧”を追い求めるハイ・エボリューショナリーに、“不完全”な者たちの集まりであるガーディアンズが立ち向かうこと。“完璧”とは、所詮は人間の考えたものであり、そう思い込むことで成立する概念に過ぎないのだ。世界は“不完全”なものであり、そんな現実を受け入れていることが、ガーディアンズの強み。ポンコツではあるが、独りでは戦えない、弱い自分のこともよく知っている。それゆえに逆境に置かれた弱者を見捨てることもない。

ガン監督が描き続ける、そんな美学を下敷きにして物語はエンタメに徹する。アクションはとにかくダイナミックで、ガーディアンズの面々それぞれの特徴を活かす。ピーターのリーダーシップは頼もしいし、ドラックスの力任せの暴れっぷりや、ガモーラのクールな戦闘はとにかく痛快。グルートとロケットの共闘をはじめ、仲間同士でなければなしえない連携にもアツくなる。前作のラストでガーディアンズの一員となった、元宇宙海賊クラグリン(ショーン・ガン)の好サポートも見逃せない。


笛で矢を操る訓練中のクラグリン。前作で亡くなったヨンドゥのようになれるのか?
笛で矢を操る訓練中のクラグリン。前作で亡くなったヨンドゥのようになれるのか?[c] 2023 Marvel

もちろん、シリーズに欠かせない“泣き”の要素も健在だ。詳細は割愛するが、本作ではロケットの知られざる過去が明かされる。どのようにして彼は、宇宙最凶のアライグマとなったのか?彼が工学の天才となった背景には、なにがあったのか?“不完全”な生き物であることを改めて引き受けたロケットのクライマックスの戦いは、とにかくエモい。そういう意味では、彼は本作の真の主人公とも言える。

念力の能力を持つ宇宙犬、コスモの活躍にも期待したい
念力の能力を持つ宇宙犬、コスモの活躍にも期待したい[c] 2023 Marvel

本作はシリーズの(一応の)完結編とされているが、これはある意味、有終の美と言うべきだろう。ガン監督と出演者たちは熱狂とトラブルの9年間を、撮影現場でもそれ以外の場でも共闘し続けてきた。そんな想いの結実としても、これは待たされた甲斐のある傑作だ。ディズニープラスで昨年初冬より配信されている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』を観ておけば、より楽しめることを付け加えておきたい。

文/相馬学

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