“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンが大阪コミコン2023でトーク!「ハリソン・フォードは“インディ・ジョーンズ”まさにその人」
インテックス大阪で開催中のアメコミ、映画、ポップ・カルチャーの祭典「大阪コミックコンベンション 2023」(略称:大阪コミコン2023)。イベント2日目の5月4日、メインステージで行われる「セレブ・ステージ」に、“北欧の至宝”と称されるマッツ・ミケルセンがついに登場。大阪のアメコミファン、映画ファンを熱狂の渦に巻き込んだ。
会場のはるか後方までびっしりと、大勢のファンが駆け付けたミケルセンのステージ。登壇したミケルセンもその全方位に向けて手を振り、両手で指ハートを作ってお辞儀をするなど熱いファンサービスで歓迎の気持ちに応えていた。さらに、MCを務めるアメキャラ系ライターの杉山すぴ豊から、「マッツさんには『東京コミコン』に続いて『大阪コミコン』にも参加いただきました。それだけ日本のファンを気に入っていただいているのでは?」と紹介されると、すかさず「ハイ!」と即答。万雷の拍手のなかでイベントがスタートした。
事前に寄せられたファンからの質問をもとにしたQ&Aが進行していく。ミケルセンと言えば、『007 カジノ・ロワイヤル』(06)のル・シッフル役や『ドクター・ストレンジ』(16)のカエシリウス役、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(22)のグリンデルバルド役と数々の人気シリーズで魅力的な悪役を演じてきた。
「マッツさんはとても親切なのにどうしてそんなにも悪役が似合うのでしょうか?」と聞かれ、「英語のアクセントがちょっとおもしろいからかな?」と回答したミケルセン。続けて、「実は私自身は悪役だとは思っていないんです。コインの裏表のように誰もがダークサイドを持っていて、その部分をできるだけ表現するように務めています」とも説明し、彼の演じるキャラクターがどこか共感を誘う理由について明かしてくれた。
ミケルセンの名が世界中に知れ渡るきっかけになったキャラクターとして、2013~15年にかけて3シーズンが放送されたテレビドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」でのハンニバル・レクター博士が挙げられる。そして、今年は「HANNIBAL/ハンニバル」の製作10周年にあたる。ミケルセンにとって今作はどのような存在なのだろうか?
「1000は思い出があるのですが(笑)、一番は友情ですね。たくさんの作品に出演させていただいてきましたが、映画では撮影が終了するとチームが解散してしまいます。『HANNIBAL/ハンニバル』は3シーズンが製作され、スタッフやキャストともそれだけ長い期間を一緒に過ごすことができました。また、役にも深く潜っていくことができたので、私のキャリアのなかでも大好きな作品の一つです」。
上記の通り、たくさんフランチャイズ作品に参加してきたミケルセン。演じたことがない役はないのでは?と思ってしまうところだが、今後の出演してみた作品、演じてみたい役についても以下のように話している。
「ずっとゾンビになりたかったんです。本気ですよ。ただ、ゾンビ役の問題は劇中ですぐに死んでしまうことですよね。なので、メインキャラクターがゾンビの作品があれば、ぜひ参加したいです!」。
イベントのスタート前には、ミケルセン出演の最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(6月30日公開)の予告編がスクリーンに映し出され、ミケルセン演じる今作におけるインディの宿敵で元ナチスの科学者フォラーが登場するたびに、会場からは歓声が上がり、そのセクシーさにため息が漏れていた。
「インディ・ジョーンズ」出演をオファーされた時については、「とってもハッピーです!実はオファーをいただく1週間ほど前に、友人から『いろいろなフランチャイズ作品に出演しているけど、足りてないのは「インディ・ジョーンズ」だけだね』と言われていたんです。そしたら、本当に出演することになって(笑)。その友人にはすぐに喜びのメッセージを送りましたよ」とのこと。冗談で話していたことが実現し、ミケルセン自身にとっても大きなサプライズだったようだ。
インディ役のレジェンド、ハリソン・フォードと初めて対面した瞬間も忘れられない記憶らしい。「ハリソン・フォードさんというよりは、“インディ・ジョーンズ”まさにその人に会ったという感覚でした!というのも、彼がちょうど予告編を撮っていたタイミングで、すでにコスチュームを身に着けていて、おなじみの鞭も持っていたんですよ」。
気になるのは、ミケルセン演じるフォラーのキャラクターやインディとの関係性について。答えられる範囲で教えてほしいとお願いされると、「全部をお話したいのですが、そうするとみなさんを消さないといけないですね(笑)」と冗談をはさんで会場を笑いで包むミケルセン。
「いま明かせるのは、フォラーは科学者で1930~40年代にドイツにいた人物です。なので、歴史に詳しい方なら誰をモデルにしているかがピンとくるのではないでしょうか?私が気に入っているのは列車での長いシーンで、かなりドラマチックで奇麗な場面になっています。ぜひ公開を楽しみに待っていてください!」と話し、熱狂のステージを締めくくった。
また、ミケルセンは3日間を通してサイン会などにも参加。すべて完売したチケットを手にした、幸運なファンたちが夢の時間を楽しんだ。ステージ登壇後には、最新作『忌怪島/きかいじま』(6月16日公開)のステージのためにその場に居合わせた『呪怨』(03)、『犬鳴村』(20)の清水崇監督と遭遇。共に写真に納まるなど、映画ファン注目の交流を果たしていた。
ますます『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』への期待感も高まった今回のステージ。マッツ・ミケルセンの“悪役列伝”にフォラー役はどのような1ページを刻むのか?その雄姿をしかと目に焼き付けたい。
取材・文/平尾嘉浩