TM NETWORK、「シティーハンター」に感謝!「僕たちにとって『Get Wild』は最大のライバル」
全世界で発行部数5000万部を超える人気漫画の劇場版最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』のプレス発表イベントが6月13日にEXシアター六本木で開催され、神谷明、沢城みゆき、堀内賢雄、総監督のこだま兼嗣と共に、シリーズの代名詞とも言えるエンディング曲「Get Wild」を歌うTM NETWORKの小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登が登壇。公開日が9月8日(金)となることが発表されたほか、TM NETWORKが今回オープニング曲として新たに書き下ろした「Whatever Comes」への想いを明かした。
1985年に北条司が「週刊少年ジャンプ」にて連載を開始した「シティーハンター」の劇場版最新作となる本作。無類の女好きにして伝説の始末屋(スイーパー)、冴羽リョウの過去、そしてパートナーであった槇村秀幸の死の核心に迫る物語を描く。
こだま総監督は、2019年に公開された前作『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』に触れ、「前作は以前の『シティーハンター』ファンを呼び起こすために作ってきました。今回は『シティーハンター』の原作ファン、アニメファン、さらに新しいファンも獲得したいというストーリー仕立てになっています」と意気込みを吐露。1987年から主人公の冴羽リョウ役を演じている神谷は、「実は『早く新作を作ってくれないかな』と思っていた。『やっとか』という想いと『うれしいな』という思いが同時に込みあげてきた」と企画がスタートした当時の心境を振り返った。
シリーズの最終章とも言われている本作だが、神谷は「海原も出てくるし、『これで終わりかな』というつもりで演じたんですが、どうなんでしょうね」と切りだし、「『序章なのかな』という印象もあるんです。この作品を僕の表現でお伝えすると、ゲラゲラ、ワクワク、ハラハラ、ドキドキ、ジーン。ジェットコースターに乗っているかのように展開される。本当におもしろかった」と完成作に胸を張っていた。
新キャラクターであるアンジー役を演じる沢城は、神谷、そして香役の伊倉一恵と一緒に演じたいと、スタッフにお願いしたという。「こんなチャンス逃すわけにはいかないと思って。『どうしても神谷さんと伊倉さんと一緒がいいです。どうにかならないですか』とお願いしました」とにっこり。獠の育ての親である海原神役を演じる堀内は、「第6話にゲストで出させていただいた。すごく緊張した記憶がある」とテレビシリーズの出演を回顧し、「それから数十年経って、重要な役をやらせていただくことになった。すごくうれしかった」と感激しきり。本作の収録前夜には「眠れなかった」と苦笑いを見せていた。
またこの日は、TM NETWORKの3人も会場に駆けつけた。本作ではエンディングだけでなく、オープニング曲も担当することになったが、小室は「オープニングとエンディング、両方ともTM NETWORKでできる。最高です。ありがとうございます。本当に念願だった。やりたかったんです」と感謝。こだま総監督が「この作品をよく知っている方たち」とTM NETWORKに信頼を寄せるなか、小室は「僕たちにとって『Get Wild』という最大のライバルがエンディングに控えているので、『Get Wild』に負けず劣らずのオープニングを作らなきゃというイメージだった」とプレッシャーもあった様子。「90年代風にとか、何年代風という意識はなく、『なるべく新しいものを』と思い、二人にもいろいろなことにトライしてもらった」と語る。
ボーカルの宇都宮は「歌うマイクの位置ってだいたい決まっているんですが、今回は特別な注文がありました。マイクがもうこの辺に…(笑)」とマイクを口に近づけて歌ってほしいとのオーダーがあったという。小室は「40年近く、ウツ(宇都宮)のマイクのポジションが決まっている。今回は特別に、目の前に入ってくるような感じで。オンマイクで」と意図を語る。ギター、キーボードの木根は「僕はいつものように」と語り、会場を笑わせていた。
神谷は「僕の身体には『Get Wild』が染み込んでいる。今回も『Get Wild』のイントロが流れてきた途端に泣きそうになりました。すごい曲。すばらしい曲をプレゼントしていただいた『シティーハンター』の幸せを感じました」と改めて惚れ惚れ。
小室は「半分くらいジョークなんですが、『僕たち、一発屋じゃないよね』と言っている」と笑いながら、「どうしても『TM NETWORKの代表作は』というと『Get Wild』となる。でも代表作があるということは、すばらしいこと。ここまで長く皆さんに聞いていただけるとは、夢にも思っていなかったです」、宇都宮も「(テレビシリーズ放送時に)一番最初にエンディングでかかった瞬間に、『僕の声だ!』とすごく感動した。毎週楽しみで観ていた」、木根も「僕らも何十年もずっと一緒に、進んでここまでこられたことが光栄です」と『シティーハンター』との縁に感慨深げ。最後にオープニング曲の手応えを聞かれた小室は、「僕たちは自信がある」と力を込めつつ、「『シティーハンター』ファンの皆さんにどう思っていただけるか。『Get Wild』が最後の締めなので、そこで締められちゃうのかな、まとめられちゃうのかなという気もしている」と笑顔を浮かべながら素直に話していた。
※冴羽リョウの「リョウ」はけものへんに「尞」
取材・文/成田おり枝