山本美月が語る、ホラーや非科学的な存在の魅力「目に見えないなにかがいるかもと考えるだけで可能性が広がる」

インタビュー

山本美月が語る、ホラーや非科学的な存在の魅力「目に見えないなにかがいるかもと考えるだけで可能性が広がる」

「みんなで『奄美に帰りたい!』って叫んだくらい、奄美大島が素敵でした」

だが撮影現場は、映画が描くそんな未知の仮想世界とは違い「いつも和やかで、撮影の合間もキャストのみんなでずっとお話したりしていました」と述懐する。「今回の現場では、プロモーションに使う写真を撮るために私たち俳優部にインスタントカメラを渡されていて『みんなで心霊写真を作ろう!』って頑張ったりもしたんですが、心霊写真に全然ならなかった(笑)。でも、西畑くんも楽しそうだったし、年上の平岡(祐太)さんも馴染んでいらっしゃったから、学生時代を思い出しました。それぐらい、みんな仲がよかったですね」。

一緒に芝居をすることが多かった西畑についても「プログラミングに関する長いセリフが多くて大変そうでしたね。プレッシャーもあったと思います」と優しい眼差しを向ける。「朝もしんどそうでした。私も朝は苦手だけど、西畑くんほどじゃないな…と思ったくらい(笑)。そういう朝が弱いところを見て、いい意味で『人気アイドルの彼もやっぱり人間なんだな』って親しみが持てました(笑)」としみじみ。「それに、西畑くんだけではなく、(プログラマーの深澤未央を演じた)生駒(里奈)さんも(エンジニアの北島弘治に扮した)水石(亜飛夢)くんも、芝居に真面目に取り組む姿が偉いなと思って。みんなのことを、自分の弟や妹みたいな感じで見ていましたね(笑)」と言って目を細める。

片岡友彦(西畑大吾)ら、VR研究チームが恐怖に襲われる…
片岡友彦(西畑大吾)ら、VR研究チームが恐怖に襲われる…[c]2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会

そんな山本にとって、今回の撮影での最も大きな実りは初めて行ったというロケ地の奄美大島だった。「『ハブが出るから』って言われていたので、行く前は靴はどうしよう?どれだけの大自然なんだろう?と思ったし、あまりにも未知だったので、すごくドキドキしてました」と前置きした上で、「私はパワースポットに行ってもパワーを感じられないタイプなんですけど、奄美大島は『神が降りた島』と言われるだけあって、本当に“気”がよくて。加計呂麻島も素敵だったし、海も綺麗で食べ物も美味しい。すごいパワーを感じたので、絶対にもう一度行きたいですね」と言って、この日いちばんの笑顔を見せる。

奄美大島での撮影は非常に充実したものになったそう
奄美大島での撮影は非常に充実したものになったそう撮影/梁瀬玉実

そこで、「心配していたハブには遭遇しなかったんですか?」と尋ねると、「ハブは撮影がお休みの日に、マネージャーさんと一緒にナイトツアーに参加して見てきました」と、今度は悪戯っぽい笑顔に。「ジープで夜道をガタガタ行ったら、山の奥の水溜まりにいっぱいいました。水溜まりの周りの草むらに隠れていて襲うみたいだから、すごく怖い」と言いながらも、その声には張りが感じられる。「奄美大島が気持ちよすぎたから、その後に千葉のセットで撮った研究室のシーンがつらくて。あまりにも閉鎖的な空間だったので、みんなで『奄美に帰りたい!』って叫んだくらいでした(笑)。個人的には、次は今回散策できなかった金作原(きんさくばる)に行ってみたいですね。私、植物も好きなんですけど、その原生林には変わった固有種の植物がたくさん生息しているみたいなんですよ」。


「上京してまだ間もない、大学生の時のことなんですけど…」

話を聞けば聞くほど、山本美月が心を閉ざしがちな劇中の環とはまるで違い、好奇心旺盛でアクティブなことが伝わってくる。そこで最後に「これまでの人生でいちばん怖かったことは?」というホラー映画のインタビューでは定番の質問をぶつけてみた。すると、しばし考え、思い出したように「上京してまだ間もない、大学生の時のことなんですけど…」と話し始める。

「よく行くスーパーがあって、いつも同じものばかり買っていたんですけど、ある時、そこで見ず知らずの男の人から突然『ずっと前から好きでした』って告白されたんです。一度も言葉を交わしたこともないのに、いつから私を見ていたんだろう?と、少し怖くなってしまいました」と語り、“人”がやっぱりいちばん怖いということを印象づけた。

あまり怖いものはないという山本美月。今後もホラー映画での活躍に期待したい!
あまり怖いものはないという山本美月。今後もホラー映画での活躍に期待したい!撮影/梁瀬玉実

取材・文/イソガイマサト


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