奥田民生が語る、幼少期の思い出と“クルマ愛”
ディズニー/ピクサーの最新作『カーズ/クロスロード』(7月15日公開)で、日本語版のエンドソングとして流れるのが、奥田民生が書き下ろした「エンジン」。親戚がモーターズ(自動車整備工場)で、幼い頃からクルマが大好きだったという奥田が、クルマたちの映画に曲を提供するというのは、どんな感慨があったのだろう。曲作りの思いや、『カーズ』の魅力について聞いた。
『カーズ』は1作目から大好きだったという奥田。その原点は子供時代にテレビで観たアニメだったという。「子供の頃、よく見ていたアニメで、話の合間に挟まれて放映されたクルマのアニメに夢中になりました。『カーズ』を初めて観たとき、そのクルマのキャラを思い出し、重ね合わせるように作品に入り込んじゃいましたね」と、奥田は懐かしそうに振り返る。
「1作目の『カーズ』も大人が感動できるストーリーだったのですが、今回の『クロスロード』は、さらに深く人生を語ってますよね」と、曲を作るために観た『カーズ/クロスロード』にも大満足だったという奥田。「ふだんの曲作りと違うのは、完成された映像やドラマからイメージをふくらますこと」と、作詞・作曲にアプローチしたそうだ。「エンジン」の歌詞に「駆け抜けて行こう 山を越えて 時を超えて」とあるように、イメージしたのはマックィーンらがゆったりと走るシーンだったという。「レースとレースの間の旅が印象に残りました。エンジンの回転を上げるのではなく、リラックスして自然の中の道を走っていく感覚を、歌詞とメロディに込ました」と、その思いを語る。
完成した映像を観た率直な感想を尋ねると、「サーキットのシーンなんて、実写ではありえないアングルもあって驚きましたけど、アニメーションであることを忘れて観てました。そして、心地よい後味のエンドロールに僕の曲が流れるのを聴いて、『曲調、悪くなかったかな』と安心しましたよ」と、奥田は少し照れくさそうにほほえむ。
最後に『カーズ』のキャラクターで実際に自分が乗りたいクルマを聞いてみた。「自分で乗るなら、クルマは黄色やブルーが好きですね。(広島カープファンで)何でもかんでも赤になるのは避けたいので(笑)。でもフォルムとして、いちばん乗ってみたいのは、やはりマックィーンでしょう!」。【取材・文/斉藤博昭】