歴代最高評価を更新!トム・クルーズが挑んだ「ミッション:インポッシブル」最新作は“IMAX推し”
暴走するAIに翻弄され、選択を迫られる…迫真のドラマに心揺さぶられる!
自己防衛本能に目覚めたAIを題材にした本作は、AIが人類を超える転換点「シンギュラリティ」や膨大なデータをもとにアウトプットを創作する「ジェネレーティブAI」がキーワードの今日、もっとも旬なテーマと言える。シリーズを通し「なにが正義か、なにが悪か」を投げかけ続けてきた「M:I」だが、本作ではいかに救うかを中心にドラマを展開。AIの予測に基づいて仲間すら始末する状況のなか、イーサンは国家情報局やCIAの意向に逆らい“それ”を葬るため独自に行動を開始する。
相手の2歩、3歩先を読んで行動してきたイーサンだが “それ”に翻弄され、大切な仲間が危険にさらされる…。苦悩するキャラクターを演じる、俳優たちの繊細な感情表現も本作の魅力。砂漠で傭兵を迎え撃つイルサが双眼鏡でイーサンの姿を目にした瞬間に見せる表情の変化、夕日に照らされたヴェニスで見つめ合うイーサンとイルサ、ルーサーやベンジーとの友情など、演技派たちの名演が光る。アウトサイダーとして生きてきたグレースの心の変化や、イーサンを追っていた者たちまでもが戦いのなかで彼にシンパシーを抱くさまなど、しぐさや表情で物語るシーンが多い本作。ささいな表情の変化をしっかり伝える高精細なIMAXなら、キャラクターへの共感度の高まりも実感できるだろう。
また、第1作でイーサンと敵対したCIAのキトリッジ(ヘンリー・ツェーニー)が復帰し、前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18)に続いてミステリアスな武器商人ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)が登場することもトピックだが、彼らがクライマックスに向け集合していくドラマの妙味も、IMAXで味わえばいっそう胸に刺さるはずだ。
スクリーンでの映画体験の重要性を訴えてきたクルーズは、コロナが猛威をふるった2020年に本作のクリストファー・マッカリー監督とマスク姿で映画館を訪れ『TENET テネット』を鑑賞したとSNSで報告。昨年は閉塞感を吹き飛ばす痛快作『トップガン マーヴェリック』を世界的に大ヒットさせ、スティーヴン・スピルバーグ監督から映画館に活気をもたらしたと称賛されたのも記憶に新しい。
映画館での鑑賞にこだわりながら、精力的に作品を製作し、演じ続けるトム・クルーズ。そんな彼の作品だからこそ、究極の映画体験ができるIMAXでじっくりと味わい尽くしてほしい!
文/神武団四郎