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「身体改造カルチャーの未来を予言した映画」ケロッピー前田&サエボーグが『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の魅力を語り合う

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「身体改造カルチャーの未来を予言した映画」ケロッピー前田&サエボーグが『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の魅力を語り合う

第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、賛否両論を巻き起こした鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』(8月18日公開)。本作の特別試写会が8月3日にユーロライブで行われ、身体改造ジャーナリストのケロッピー前田とアーティストのサエボーグがトークショーに登壇した。

本作の舞台はそう遠くない未来。人工的な環境に適応するよう進化し続けた人類は、生物学的構造の変容を遂げ、痛みの感覚も消えた。“加速進化症候群”のアーティスト、ソールが体内に生みだす新たな臓器に、パートナーのカプリースがタトゥーを施し摘出するショーが人気を呼ぶなか、政府は人類の誤った進化と暴走を監視するために“臓器登録所”を設立。それに強い関心を持つソールのもとに、生前にプラスチックを食べていたという遺体が持ち込まれる。

【写真を見る】身体と精神の変異…カンヌで賛否両論を巻き起こした問題作が日本へ
【写真を見る】身体と精神の変異…カンヌで賛否両論を巻き起こした問題作が日本へ[c]2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A.[c] Serendipity Point Films 2021

TBSの「クレイジージャーニー」に出演し注目を集めた前田は「まさしくこの映画は、身体を改造するということが未来においてどうなるか、ということをテーマにしているので、これまで現場で取材してきた身体改造カルチャーの未来を予言した映画だと非常に感銘を受けました」と、身体改造ジャーナリストならではの視点で感想を述べる。

また、自らの皮膚の延⻑としてラテックス製のボディスーツを自作し、装着するパフォーマンスを展開するサエボーグも「タイトルに“フューチャー”と入っていたので、最初はSF設定なのかと思いましたが、逆に人工知能やAIに一切触れないところが良かったです。細かいSF的な設定を積み重ねていくというより、寓話的、神話的なところをまとめていると感じました」と、本作の世界観にすっかり魅了された様子。

クローネンバーグ監督のファンだというケロッピー前田とサエボーグ。本作から感銘を受けたポイントは?
クローネンバーグ監督のファンだというケロッピー前田とサエボーグ。本作から感銘を受けたポイントは?

元々2人はクローネンバーグ監督の大ファンとのことで、「クローネンバーグ監督の内蔵感覚がすごく好き」と明かすサエボーグ。「彼は内蔵や身体が変質していく過程と共に、精神がどう変わっていくかを追いかけている方だと思います」と語ると、前田も「身体の変異が精神の変異とセットになっているところがおもしろい。今回の映画でも、アートを生みだすという頭のなかで起こる行為によって主人公は新しい臓器を体内から生みだし、タトゥーを施して取りだして見せている」と熱量たっぷりに応じる。

そして「僕自身、パフォーマンスとして額の皮膚を剥がしたり、おでこに一部が突起したインプラントを埋めていたりするんですけど、劇中ではカプリースも額にインプラントをしましたね。人類の進化が問われるなかで、あなたは自分の身体を改造する勇気があるのかと突きつけられました」と、本作から強烈な印象を受けたことを明かす前田。イベントの最後に前田は“ボディハッキング”という新たな身体改造をお披露目し、会場を大いに沸かせていた。

文/久保田 和馬

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