津田健次郎が語る、「M:I」最新作で感じた“森川智之トム”への安心感と悪役の極意
「美女を巡るドラマというのもハリウッドらしい要素」
実は上映中の音漏れがする場所で行った本インタビュー。津田が好きだという、イーサンと新キャラクター、グレース(ヘイリー・アトウェル)によるカーチェイスシーンの音が聞こえてくると「すごくキュートなシーンですよね」と微笑む。「2人のやり取りがすごくかわいくて。黄色いフィアット500を用意したところから、最終的に危機を脱出するオチまでクスッと笑える要素がたっぷりです」とちょっぴりドジなイーサンの動きを、身振り手振りで再現した津田。「今回はアブダビの砂漠にも、水の都ヴェニスにも行って。『M:I』シリーズはロードムービー的な側面があるのも、豊かに感じるポイントだと思います」と、シリーズを通してイーサンと旅をする楽しみもあると語った。
「美女を巡るドラマというのもハリウッドらしい要素です。美女と美男の物語って、やっぱりすごく映画らしいし、ハリウッドの伝統を守っているクルーズさんらしい作り方だと思いました」と話した津田の本作におけるお気に入り美女は、謎の殺し屋パリス(ポム・クレメンティエフ)。「今回登場する女性は全員強くて敵にしたくないタイプだけど、一番戦いたくないのはパリスです。強さも印象的ですが、本作での悲しさやせつなさは、彼女のシーンに凝縮されていた気がします。小悪党みたいに登場して、事件に巻き込まれながらイーサンとは戦友のような絆が生まれる、新キャラクターのグレースもとても魅力的。少し恋心的な匂いをさせつつ、彼女がドラマを引っ張り、彩りを与えてくれた気がします。これまでのシリーズでも目覚ましい活躍を見せていたイルサが砂漠で1人戦う姿は、カッコイイのひと言。みんなタイプの違うかっこよさ、強さがあってすてきでした」。
本作ではその正体が明かされなかったガブリエルは、次回作ではどうなっていくのだろうか。「彼自身のドラマがまったく見えてこなかったので、次回作では、彼が抱えているもの、なぜあのような行動をしているのかがわかるのかなと、いまからすごく楽しみにしています」とガブリエルの物語に期待を込めた津田に、日本語吹替版のおすすめポイントを聞いた。「吹替版の最大の魅力は情報量の多さです。セリフとしての情報量の多さで、画面を直視し続けられるよさがあります。原音を踏襲しながらも、声優さん一人一人の魅力みたいなものが、森川さんを筆頭に出ているのも吹替版を観る醍醐味です。同じ映画ですがそれぞれに魅力があるので、字幕版、吹替版の両方を楽しんでいただきたいです」。
取材・文/タナカシノブ