ダイアナ元妃が語り継がれるプリンセスである理由は“不幸な美しさ”?チャールズ国王の後輩、ハリー杉山が語る英国の王室事情
「ダイアナ元妃が特別な存在になったのは、“頂点を極めても決して幸せじゃなかった”ことが大きい」
現在の英国王室については「伝統などの変わらなくていいことと、変わるべきところがあると思います。昨年、エリザベス女王が崩御されましたが、1950年代から女王陛下として英国を支え、見守ってきた女王は不老不死なんじゃないかと思っていたイギリス人は多かったのではないかと。でも、そこから強制的に、英国王室は新たなるページをめくる時代が来ました」と捉えた。
「今年5月のチャールズ国王の戴冠式では、白人だけではなく、各国からそれぞれの宗教を代表する方々が参加し、黒人の宗教音楽であるゴスペルが歌われたり、“レガリア”という日本の“三種の神器”的なお宝が提示されたりしました。それは、ダイアナ元妃の影響からか、もしくは世の中の流れからなのかはわかりませんが、英国王室も変わってきています」と感じている。
「ロンドンオリンピックの開会式で、あそこまで女王陛下がプロモーションを仕掛けたことにも驚きました」と、当時、話題をさらった「007」さながらのパフォーマンスを称え「当時は、チャールズ皇太子もBBCで天気予報をしていたし、結果的に、あのプロモーションは大成功したと思います」と太鼓判を押す。
しかし“開かれた王室”となっていく一方で、ヘンリー王子夫妻の王室離脱など、ゴシップも絶えない。そんななかでは、いまやキャサリン妃が、ダイアナ的なポジションを目指していると思うか?と聞くと、杉山は「そうかもしれませんが、ダイアナ元妃があそこまで特別な存在になったのは、“頂点を極めても決して幸せじゃなかったこと”が大きいと思います」と持論を述べる。
「キャサリン妃の場合は、ウィリアム王子と愛し合っていて、すごく安定しています。ヘンリー王子夫妻関連でのごたごたはあっても、極めてハッピーですし、日常的なスタイリングは、結婚前からトップショップやギャップなど手軽に買えるプチプラ・ブランドのものを着ています。とはいえ、ロールモデルであることは間違いないと思いますが」と述懐。
「芸能界もそうですが、なにかしらの葛藤や悲劇を乗り越えている、もしくは経験中の“ナウ”がない限り、センセーショナルな存在にはならないと思います。ダイアナ元妃はものすごく美しくてチャーミングで、いろんな都市伝説があるにも関わらず、こんな不幸なの?という点がキャッチーなので、何世代も語り継がれる存在になったのではないかと。でも、あんなに美しい人でも、男は離れていくんですね」。
最後に、本作をこれから観る方へ、メッセージをもらった。
「美しい狂気と共に満ちあふれるダイアナ元妃の生き様を感じてほしい。あくまでも憶測ですが、孤独と混乱と悲しみに明け暮れた一方で、人としての軸を最後までしっかり持とうとしたダイアナの想いが存分にわかると思います。あとは切羽詰まったクリステン・スチュワートの演技がすばらしく、彼女のキャリアを代表する作品になりました。美しいイギリスの田舎や豪華絢爛なインテリア、音楽なども楽しんでほしいです」。
取材・文/山崎伸子