濱口竜介監督、ヴェネチア国際映画祭での銀獅子賞は「思ってもみなかった」 “3大映画祭”制覇の快挙は黒澤明以来
第80回ヴェネチア国際映画祭の授賞式が、現地時間9月9日19時(日本時間9月10日14時)より開催され、コンペティション部門へ正式出品された濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』(英題:Evil Does Not Exist)が、最高賞の金獅子賞に次ぐ「銀獅子賞(審査員大賞)」を受賞した。
濱口竜介監督は、『偶然と想像』(21)で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)では第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を含む計3部門を受賞しており(第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞も受賞)、それに続くヴェネチア国際映画祭での受賞という世界3大映画祭を制覇する快挙となり、日本人では黒澤明監督以来。
さらに今回は、映画祭本体とは別機関からの「並行賞」として、「国際批評家連盟賞」(国際映画批評家連盟によって選ばれる、ヴェネチア国際映画祭の独立賞のひと)、「映画企業特別賞」(「企業の倫理」について考察を与える映画に送られる賞)、「人・職場・環境賞」(特に「環境問題」に対する現代的アプローチに対して)の3つの賞も受賞している。
コンペティション部門の審査員長には『ラ・ラ・ランド』(17)『バビロン』(22)のデイミアン・チャゼル監督、審査員を『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(21)のジェーン・カンピオン監督、『イニシェリン島の精霊』(22)のマーティン・マクドナー監督、『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』(22)のサンティアゴ・ミトレ監督、『それでも私は生きていく』(22)のミア・ハンセン=ラブ監督、『青いカフタンの仕立て屋』(22)のサーレフ・バクリ監督など、近年活躍が目覚ましい演出家たちが顔をそろえていた。
コンペティション部門には『悪は存在しない』のほかデヴィッド・フィンチャー監督の『The Killer』、ブラッドリー・クーパーが監督・主演を務める『Maestro』、ソフィア・コッポラ監督の『Pricilla』、エヴァ・デュヴァネイ監督の『Origin』、ミシェル・フランコ監督の『Memory』、マイケル・マン監督の『Ferrari』、ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』など23作品が選出。『哀れなるものたち』が金獅子賞、マッテオ・ガロ―ネ監督の『Io capitano』が銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞している。