『君たちはどう生きるか』山時聡真が明かす、ジブリ作品に主演する“重み"と18歳の胸のうち「唯一無二の存在になりたい」
宮崎駿監督の10年ぶりの最新作『君たちはどう生きるか』(公開中)で、主人公の眞人役に抜てきされた山時聡真。初声優にしてスタジオジブリ作品の主演を務めるプレッシャーを背負いながらも、眞人の冒険と成長を見事に体現して観客を魅了している。現在18歳の現役高校生である山時は、放送中のドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)でも存在感を発揮しているが、今年は「これまでで最も悩んだ時期」と告白。宮崎監督との出会いをはじめ、転機となった2作から受けた刺激や思い描く未来像を語ってもらった。
「宮崎監督は『自由にやっていいよ』と言ってくださった。監督の笑顔が印象的です」
空襲の火災によって母親を亡くし孤独感を抱えていた眞人が、人の言葉を喋る青サギ(声:菅田将暉)に導かれるようにして、生と死が渾然一体となった不思議な世界に迷い込むさまを描く『君たちはどう生きるか』。宮崎監督による待望の最新作とあって大きな注目を集めながらも、ストーリーやキャストの情報は一切伏せられ、事前の宣伝活動も行わないという異例のプロモーション戦略が展開されたことも話題となった。
本作の公開初日を迎え、エンドロールで「山時聡真」の名前を目にした観客は、眞人のナイーブさと力強さの両面を体現した彼の存在が、大いに気になったはずだ。声優初挑戦を果たした山時だが、「以前から、“言葉にしたことが叶う”ということがあって。『CMをやりたい』と言っていたら1か月後にCMが決まったこともあり、言霊って本当にあるんだなと感じています。マネージャーさんとも『やりたいことは口にしていこう』と話していて、1年くらい前に『声優に挑戦したい』と言っていたんです。そうしたら今回、初挑戦でジブリ作品に出演が決まって…。ものすごいプレッシャーでした」と、言霊が想像以上の形となって返ってきたと照れ笑い。
役を手にするまでの経緯を振り返ってもらうと、1回のオーディションで、眞人役に決定したのだという。「オーディションではあまりキャラクターを固定しすぎずに臨みました」と自然体で挑み、見事に合格。「最初はなかなか実感が持てなくて。台本と映像が届いて、やっと実感が湧いてきました。台本を開くと、僕の名前が最初に書いてあって。そこでほかのキャストの方々の名前も知りました」と、その時にアオサギ役の菅田や、眞人の父親役の木村拓哉、父の再婚相手である夏子役の木村佳乃ら錚々たるメンバーのなかで主演を務めることが判明したそう。「『え?』と思って、一度、台本を閉じました(笑)。ペラっとめくってみたら眞人のセリフがズラッと並んでいて、ヤバい!と思って」と大慌てしたというが、「とにかく『全力で挑むしかない』と決意しました」と意欲と熱意を握り締めてアフレコに向かったと話す。
宮崎監督とどのようなやり取りがあったのか気になるところだが、監督との初対面は「オーディションの日はいらっしゃらなかったので、アフレコに参加した日に初めてお会いしました」とのこと。
「宮崎監督からは、『なにも言うことはない』『自由にやっていいよ』と声をかけていただきました。きっと僕がすごくプレッシャーを抱えていることを感じ取って、そうやって言ってくださったんだと思います。いつも笑顔で僕に向き合ってくださって、『ああ、優しい方で良かった』と思って。その笑顔がとても印象的です。学校のこともいろいろと聞いてくださって世間話もしたんですが、正直、緊張しすぎてしまってどんな会話をしたのか覚えていなくて…緊張すると記憶ってなくなるんだなと思いました」と笑い、「お芝居を引きだすためにも、とにかく僕をリラックスさせてくれて『楽にしていいよ』ということを伝えてくれました。本当にありがたかったです」と感謝をにじませる。