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『君たちはどう生きるか』山時聡真が明かす、ジブリ作品に主演する“重み"と18歳の胸のうち「唯一無二の存在になりたい」

インタビュー

『君たちはどう生きるか』山時聡真が明かす、ジブリ作品に主演する“重み"と18歳の胸のうち「唯一無二の存在になりたい」

「僕が将来に就きたい仕事は、俳優しかない。『最高の教師』の現場でもたくさんの刺激を受けています」

あらゆる影響を受けながら、自分自身に「どう生きるか?」と問いかけていくという意味では、放送中の学園ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」も、強烈なメッセージを放つ作品だ。劇中で山時は、家庭に問題を抱えた高校生の瓜生陽介役を演じている。とりわけ第2話で、勝手ばかりする母親に「絶対に許さねぇ!」と怒りをぶつける涙の熱演は視聴者の心をつかみ「瓜生くん役の子の演技がすごい」「瓜生くん回に号泣」とSNS上でも絶賛の声が上がるなど、山時の演技に視線が集中した。

「あの涙のシーンに向けて、家でも1か月前から寝る前に泣いていたんです。普段は涙って我慢してしまうものなので、きちんと泣けるようにしたいなと思って」と感情を解放して、涙腺を決壊させるための準備をしたという。同世代と共演する撮影現場では「ライバルというよりもチームという意識が強いです。同世代だからこそ話しやすいし、悩んでいることが同じだったりもします」と切磋琢磨しながらドラマ作りに奮闘している。「相良役の加藤清史郎くんからは、とても刺激を受けています。清史郎くんの役への向き合い方は、本当にすごいです。笑い方にもすごくこだわっていて、目線、座り方などすべて、『これが相良だ』と思わされるものになっている。清史郎くんを見ていると、僕はもっと役に向き合っていかなければいけないと感じましたし、『瓜生の笑い方ってどんな感じだろう?』と考えて実践するようになりました。清史郎くんは自然でいて、人間味やおもしろみのあるお芝居をされるので、すごく刺激になります」と熱っぽく語る。

これまでにもNHKの連続テレビ小説「エール」や映画『ラーゲリより愛を込めて』(22)などに出演して、俳優としての力量を示していた山時。『君たちはどう生きるか』と「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」で大役を担った今年について、「たくさんの方に自分のことを知っていただけたという意識があります。TikTokをやっているんですが、フォロワーの方もグッと増えて。コメントをいただけるととてもうれしいです」と飛躍の年となり、さらに俳優として生きていきたいという、覚悟を確かめた1年にもなったと続ける。

俳優として大きく飛躍を遂げた山時聡真、「僕が将来に就きたい仕事は、俳優しかない」
俳優として大きく飛躍を遂げた山時聡真、「僕が将来に就きたい仕事は、俳優しかない」撮影/河内彩

「受験を控えていることもあって、今年はこれまでの人生のなかでも最も悩んだ時期になりました」と口火を切り、「進路や将来のことを見据えた時に、『自分が夢中になっていること。自分が知りたいこと、突き詰めていきたいことってなんだろう』と考えて。すると『僕が将来に就きたい仕事は、俳優しかないな』と思いました。唯一無二の存在になりたいと思っています」とまっすぐな瞳で未来を見つめる。そのために「大学受験をしようと思っている」という彼は、「舞台や映画、ドラマ、アニメなどには、それぞれの“お芝居の間”があるなと感じています。特に『君たちはどう生きるか』に参加したことで、『感覚だけで演じるのではなく、間が大事なんだ』と“お芝居の間”に対する概念が変わりました。これから俳優として成長していくうえでも、感覚だけでやっていたらきっと壁にぶつかってしまう。心電図や脳波などの研究しながら、学術的に“間”を学べる大学に進みたいと思っています」と芝居を深めるために、新たな境地に挑もうとしている。

『君たちはどう生きるか』は公開中!
『君たちはどう生きるか』は公開中![c]2023 Studio Ghibli


「『最高の教師』の松岡茉優さんも、“間”の取り方がすばらしくて。『あなたたちのために、なんでもします』というセリフも、1話と2話、3話では間の取り方が違ったりと、学ぶことがたくさんあります」と影響を受け、吸収していくことが楽しくて仕方がないといった様子。いま言霊にしてかなえたい願いを聞いてみると、「バラエティ番組なんですが、まず『逃走中』に出たいです!大好きなんです(笑)」とお茶目に笑う等身大の姿もなんとも魅力的。「夢は、日本アカデミー賞の最優秀男優賞を獲ることです。そこに向かうために、まずは新人賞を獲ることが目標です」と清々しく宣言していた。

取材・文/成田おり枝

※宮崎駿監督の「崎」は「たつさき」

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