【ネタバレあり】“マスター”アナキンからの最後の教え…佳境へと突入した「スター・ウォーズ:アソーカ」折り返しレビュー!
ヘラの息子がフォースを発揮しアソーカを救出!お馴染みの”あのセリフ”も
訓練を終えた時、アソーカに示されるのは2つの選択肢。生きるか、それとも死ぬのか。アソーカが選んだのは「生きる道」。その時、シス仕様だったアナキンの顔は穏やかなジェダイ仕様となり「まだ望みはある」という言葉を残し、かつてのパダワンを現世へと送り返す。今回のサブタイトル「ShadowWarrior」は「影武者」と訳されていたが、誰のことなのか?もしかしたら直訳どおり「影の戦士」で、このアナキンを指していると思ったのだが。
では、アソーカとサビーヌの救助に来たヘラ・シンドゥーラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)はどうだろうか。大切な仲間の救出という自分にとっての正義を、彼女が身を置く新共和国が阻み、彼女の指揮権を剥奪しようとまでする(彼女をかばっているというのは「オーガナ議員」すなわちレイア!)。やはり、善と悪はきちんとすみ分けられるものではないと言っているように見えるのだ。
ちなみに、アナキンとパダワンのアソーカがいる戦場は、「最初の任務」と言っていることから、クローン戦争中のライロスの戦いだとうことがわかる。この戦争はアニメ版「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」で登場していたが、実写版では初めて。もう一つの戦いは、やはり「クローン・ウォーズ」で描かれていた惑星マンダロアでのマンダロア包囲戦。アソーカはボ=カターン・クライズと似通ったヘッドバンドをつけている。また、同シーンには実写では初になる老クローン兵士、キャプテン・レックスも登場。声を当てているのはこれまでのディー・ブラッドリー・ベイカーから、「ボバ・フェット」のテムエラ・モリソンへとバトンタッチされている。
そんなシリアスな物語が展開するなか、新たな存在感を発揮したのがヘラとケイナン・ジャラスの息子ジェイセン(エヴァン・ウィッテン)だろう。第4話ではシリーズお馴染みのセリフ「いやな予感がする」を口にしていた彼がここでは父親譲りのフォースを発揮。海から聞こえてくるライトセーバーバトルの音を聞き取るのだ。側にいるチョッパーすら感知できないのに!また、ジェイセンが海から聞こえるライトセーバーの音に耳を傾けている時に流れるのは「スカイウォーカーのテーマ」。言うまでもなくアナキンの登場を彩っているのだけれど、それと同時にジェイセンのフォースの目覚めも祝っているようにも聴こえてしまう。
では、これからの物語はどうなるのか?アソーカはサビーヌを捜す旅に出るのだが、彼女がモーガンたちと向かったであろう別の銀河へとハイパースペースジャンプするために選んだ手段は、巨大な宇宙クジラ、パーギルの体内に潜むこと。「スター・ウォーズ 反乱者たち」でエズラがパーギルたちとフォースによって想いを通じさせたように、アソーカも彼らと心を通わせ共に銀河を超える旅に出る!
そんなアソーカを見送るヘラの口から、あの名文句「フォースと共にあらんことを」がこぼれるのは美しく感動的ですらある。やっぱりこのセリフはファンの心にしみてしまう。
シリーズも佳境に入り、新しい価値観と旧来のお約束が混在した「アソーカ」。今回の監督&脚本を担当したのは本シリーズのクリエーター&ショーランナーであり、「反乱者たち」、「クローン・ウォーズ」(アニメシリーズ)も牽引した、いま現在の“スター・ウォーズ・ワールド”の立役者デイヴ・フィローニ。アニメシリーズとのリンクが濃くなるだけではなく、物語が深くなると同時にワクワクさせられるのは当然なのだ。
文/渡辺麻紀